海外移民資料館で沖縄移民の歴史展、2月12日(日)まで開催中

2023年 02月 8日

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「雄飛ふたたび -沖縄移民の歴史とウチナーンチュの絆-」(撮影/麻生雅人)

JICA海外移民資料館で、当時の資料と共に沖縄移民の歴史を振り返る企画展示「雄飛ふたたび -沖縄移民の歴史とウチナーンチュの絆-」が開催されている。

本展示は、2014年に同資料館と沖縄県との共催で実施された企画展示「雄飛 -沖縄移民の歴史とウチナーンチュの絆-」のリニューアル企画で、新たに発見された資料も展示されている。

資料館によると、沖縄からの国外への本格的な集団移民が始まったのは1899年12月とのこと。1879年明治政府によって沖縄県として日本に組み込まれた20年後のこと。食糧問題、人口問題の解決策のひとつとして海外への集団移民が計画されたという。

展示では、沖縄移民の歴史やその背景を解説しながら、当時を物語る貴重な私物類や写真を紹介している。

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「雄飛ふたたび -沖縄移民の歴史とウチナーンチュの絆-」。利益代理国が発行した身分証など(撮影/麻生雅人)

1899年12月にハワイに向かって出発した26名の集団移民を皮切りに、沖縄の海外移民は、移住先を北米、南米、東南アジアなどへ広げていった。

1908年、ブラジルへの最初の集団移民船「笠戸丸」の乗客781名のうち、325人が沖縄からの移民だったのも有名な話だ。

世界各地に渡った移民は、過酷な労働環境下にありながらも故郷の家族への送金を絶やさず、移民による送金総額は、県の歳入の1割をしめたこともあったという。

今回の展示では、これまで広く知られていなかった、第二次世界大戦が移民に与えた影響についても詳細に紹介されている。

アメリカ合衆国の統治下にあった沖縄からの移民は、米軍が設置した琉球列島米国民政府(USCAR)が発行した身分証明書を使って渡航したという。

アルゼンチンへの移民の例では、1948年9月から1951年9月の間、利益代理国(戦争などにより断交状態になった国家間において双方の利益を代行する中立国)であるスウェーデンが、旅券に代わる身分証明書を発行していた事例もあった。

こうした事例が、沖縄の金武町教育委員会、南風原文化センターなど公的機関や個人の所蔵品による、身分証明書、渡航証明書などの貴重な資料の現物と共に紹介されている。

展示は2月12日(日)まで。

JICA 横浜 海外移住資料館
URL:https://www.jica.go.jp/jomm/index.html
住所:神奈川県横浜市中区新港 2-3-1
開館時間: 10:00~18:00(入館は 17:30 まで)
休館日: 毎週月曜日(但し祝祭日と重なる場合は翌日)
年末年始(12 月 29 日~1 月 3 日)
入館料: 無料

(文/麻生雅人)