スペシャルティコーヒーの祭典「SCAJ2026」、今年も盛況
2026年 10月 16日
アジア最大規模を誇るスペシャルティコーヒーの見本市イベント「SCAJ ワールド スペシャルティコーヒー カンファレンス アンド エキシビション2026(以下、SCAJ2026)」が東京ビッグサイト(東京都江東区)にて10月14日(水)、開幕した。会期は17日(土)まで。
業界のコーヒーの一大イベントと位置付けられているSCAJは、世界中からコーヒー関係者とコーヒーファンが一堂に集結する見本市。コーヒーのビジネスに携わる人だけでなく、コーヒーファンも、生産者や焙煎士、バリスタなどと直に接してコーヒーについて知見を広めることのできる貴重な場でもある。
開催21回目を迎える今年は、40の国と地域から過去最多となる560社が参加している。世界各地の多種多様なコーヒー豆に加え、焙煎機や最新鋭の抽出機、関連食品までが並ぶ。
南1ホールと南2ホールには、コーヒー産地であるさまざまな国や地域のパヴィリオンや、輸入会社や流通企業、関連機器のブースが並ぶ(16日(金)まで開催)。
世界のコーヒー生産量ランキング、2024年度でも1位に輝くブラジルは例年通り「ブラジルスペシャルティコーヒー協会(BSCA)」のパヴィリオンで、ブラジル産の品種アララ(オバタ種とイエロー・カトゥアイ種の交配種)を中心に、多様なスペシャルティ・コーヒーを紹介している。
パヴィリオンには、地域の小規模生産者たちとネットワークを構築して、栽培から流通・販売まで支援しながら同地域のコーヒーを国際的に販売しているカパドシア農園(ミナスジェライス州南部マンチケイラ山地)などが参加している。
南3ホール、南4ホールにも、輸入会社や関連機器が出展、ここでは豆や機器の一般販売も行っている。
そしてこのエリアの目玉はSCAJの人気コーナーである「Coffee Village」だ。
「Coffee Village」には全国各地及び海外からマイクロロースターやカフェが集結、日本中の名バリスタのコーヒーが試飲できるだけなく、各店のコーヒーも購入することができる。8回目となる今年は240社が参加しており、日本のコーヒーシーンの最先端に触れることができる。
このエリアでは、ここ数年トレンドの一つとなっているインフューズドコーヒーも多くみられた。生豆や、精製・発酵段階でコーヒー以外の素材の香味を移したインフューズドコーヒーはコーヒーファンの間で賛否両論が巻き起こっているものの、意外なフレイバーや多様なフレーバーを楽しむファンに支持されているようだ。
一方、自家焙煎やブレンドによって豆そのものの個性を引き出し、アピールしている店も多い。そんなシーンでもブラジル産コーヒーは存在感を見せている。
「MAHIRO COFFEE ROASTERY」(東京都・品川区)ではインフュージョンも紹介しているが、店名を冠した自信作「マヒロブレンド」は、そんな新しい可能性を秘めたコーヒーに決してひけをとらないように開発されたブレンドで、コロンビア、ブラジル、グアテマラ、エチオピアの4種の豆の個性を対峙させたという。深い煎りでコクの深いブレンドに華やかなエチオピアを加えることで、ブレンドでありながらすっきりとした口あたりに仕上げた逸品とのこと。ここで、コーヒーらしい基本的なボディを担っているのがブラジルだという。
同じ豆でも、焙煎士の異なる表現が楽しめる「Coffee Village」
「Coffee Village」で紹介されていたブラジル産の豆で、ひと際その個性を光らせているのがグアリローバ農園(ミナスジェライス州)の「Paraiso MG2(パライーゾ)」だ。
イエロー・カトゥアイ―種とイブリド・ジ・チモール(アラビカ種とロブスタ種の自然交配)を交配させた品種を、低温スローファーメンテーション、及び、ブラックハニープロセスで精製処理した、同農園ならではの豆。特別なロットのため生産量も限られた限定品だ。輸入元のミライシーズによると、「シトリックでブライトな酸」と、それを支える「極めて高いクリーミーな甘み」が魅力だという。しかし、この豆のどの部分を最大の魅力として引き出すかは、焙煎士、バリスタによって全然違う。
「珈の鳥」(静岡県伊東市)の桑名大地さんは、初めてこのロットと出会ったときに「ここまで手間をかけてコーヒーを作るのか!」と思ったという。そして「生産者が本気でコーヒーと向き合って作ったものを」「本気で焙煎して、飲んでくれる人に届けてみたい」という思いからセレクトしたとのこと。
「珈の鳥」が贈るパライーゾは、桑名さんが感じた「グレープやブラックチェリーのような果実感」、そして「それ以上に印象に残った『濃い密』のような甘さ」、「花の蜜を想わせる香り」、「紅茶のようなティーライクな印象」、「少しだけ山椒やスパイスを思わせるニュアンス」を引き出す焙煎が楽しめる。
焙煎士・白井渉さんが運営する「Days Coffee Roaster」(新潟県新潟市)は、「ハニー・紹興酒・カステラティー・トロピカル・ラベンダー・グレープガム・クミンシード・ローズヒップ・コンプレックス」をキーワードとして掲げた焙煎を提案していた。

それぞれの焙煎士が独自の世界観を表現する中、2025年に、国内予選で優勝を果たし、日本代表としてWCRC(世界コーヒー焙煎競技会)に出場した焙煎士・大貫健晴さんがオーナーを務める「MOOD COFFEE&ESPRESSO」(茨城県水戸市)は、「ジャパニーズ・ペッパー、ジンジャー、レモネード、ベルガモット、シトラス、スパークリング」をキーワードとして提示。甘さよりも、山椒や生姜を想わせるスパイシーな香りを引き立たせている。試飲して一口目は、フレーバーのあまりの静けさにとまどったが、時間と共に、しずかにじわじわと、大貫さんが狙う世界観が広がり、このフレーバーがずっと続いていく。
世界各地のさまざまな産地の豆が、日本全国および国外の焙煎士、バリスタの手で表現され、目の前で試飲をしながらその世界観にまつわる話も聞ける「Coffee Village」は、コーヒー好きにはたまらない年に1度の幸せな時間なのだと思う。
「SCAJ ワールド スペシャルティコーヒー カンファレンス アンド エキシビション2026」
会場: 東京ビッグサイト 南展示棟1-4ホール
会期: 南1-2ホール 2026年10月14日(水)〜16日(金) 10:00~17:00 (最終日は16:00まで)
南3-4ホール 2026年10月14日(水)〜17日(土) 10:00~17:00
入場料:事前登録2,000円(税込)/当日3,000円(税込)、招待状持参者 無料
公式サイト:https://scajconference.jp/
(文/麻生雅人)




