ブラジルの復活祭「パスコア」の語源は!?

2014年 04月 20日

semna santa

スーパーマーケットにたまご型のチョコレートのお菓子が並ぶパスコアの話題。今回は、語源や日付けのお話です。

2014年は4月20日がパスコア(復活祭、英語圏ではイースターとも)。復活祭はキリスト教の信者にとっては、誕生日(クリスマス)と並び重要な日なのだそうです。

パスコア(復活祭)の日の前日までの1週間はカトリックではセマーナ・サンタ(聖週間)と呼ばれ、この期間はミサや行進など、敬虔な祭事が執り行われるのだそうです。

リオデジャネイロ州が運営する教育サイト「コネクサォン・アルーノ」によると、Páscoa パスコアの語源はユダヤ教のPessach ペサックとのこと。ペサックはユダヤ教では重要な祝祭で、ラムセス2世の時代の古代エジプトで奴隷となっていたユダヤ人たちが奴隷の身から解放され自由になったことを祝う8日間に渡るお祭りなのだそうです。

パスコアの語源となったペサックは、ユダヤ人にとっては、新しい人生に向かう道、という意味なのだそうです。解放されて新たな人生を始める、いわば生まれ変わりを祝う言葉が、キリスト教におけるイエス・キリストの復活と、その後の新しい人生を祝う概念に、結びついたようです。

ユダヤ人であるイエス・キリストはペサックなどユダヤ人が持っている習慣を大事にしていたそうです。実はレオナルド・ダ・ヴィンチの絵画で有名な“最後の晩餐”も、イエス・キリストが自分の弟子たちとペサックを祝っている晩餐だとする説があるそうです。ヨハネ福音書は、最後の晩餐が行われた日とペサックの時期と一致していることを明確に示しているそうです。

イエス・キリストは神の子であり、人々を苦しみから救い、彼らの罪を背負うためにこの世に使わされた--それゆえ神はイエス・キリストをユダヤ教のペサックの日を選んで復活させた、とされているそうです。

(文/麻生雅人、写真/Getty Images)
写真は2014年4月18日、パラチーで行われたセマーナ・サンタ(聖週間)の祈り

著者紹介

麻生雅人 Massato Asso

麻生雅人 Massato Asso
ブラジル関連催事企画広告監修、イベントコーディネーター。ブラジル文化紹介の文筆。2001年以来、年に数回渡伯してブラジル各地の食文化、トレンド、伝統芸能などを調査。 カシャッサ・カウンシル・ジャパン主任研究員。Mega Brasil編集長。

●イベントコーディネート「第一回カシャッサ・カクテル・グランプリ」(主催:在日ブラジル商業会議所、2017年7月)、「カシャッサの日を祝う会」(主催:カシャッサ・カウンシル・ジャパン、17年9月)、「第二回カシャッサ・カクテル・グランプリ」(主催:在日ブラジル商業会議所、18年7月)、「第三回ブラジル食品展示会」(主催:駐日ブラジル大使館、18年9月)

●講演「第一回ブラジル食品展示会」(駐日ブラジル大使館 16年2月)、「第二回ブラジル食品展示会」(駐日ブラジル大使館 16年8月)、「ブラジルはなぜカラフルなのか」(パナソニックセンター、16年8月)、「カラフルでおいしいブラジル」(LunchTripブラジル便 16年10月)、「ブラジル食品飲料市場の最前事情 国内地方産物への注目とQOL志向の高まり」(日本ブラジル中央協会 17年1月27日)、「食材の宝庫ブラジルから届いた、未知の味とスーパーフードによるメニュー提案」(第6回 喫茶・カフェショー 18年)ほか。

●編著「A Boa Vida」(三越伊勢丹ホールディングス)、「A Boa Vida 2015」(三越伊勢丹ホールディングス、※サイトのみ)、「ブラジルカルチャー図鑑(共同編集:山本綾子)」(スペースシャワー・ブックス)、「ブラジリアン・ミュージック」「サンバ」(以上シンコー・ミュージック)。

●執筆「るるぶ ブラジル・アルゼンチン」、「アウテルナチーヴァ」ほか。

●出演「ボサノバ最高の詩人モラエス」(NHK-FM 13年11月)、「日曜喫茶室」(NHK-FM 14年5月)、「爆笑問題の日曜サンデー」(TBSラジオ 14年6月)、「ブラジルまるかじり紀行」(NHK-FM 14年6月)、「ブラジルまるかじり紀行2」(NHK-FM 15年6月)、「今日は1日ブラジルまるかじり三昧」(NHK-FM 16年7月)、「ノンストップ」~<そもそもシュラスコとは何?>(フジテレビ 16年8月)など。

● 最新刊「おいしいブラジル」(スペースシャワー・ブックス、16年)
コラムの記事一覧へ