ブラジル産、高品質チョコレートのブランド

2014年 12月 19日

モダカ チョコレート

今回は、ブラジル産カカオの品質向上とブラチョコの生産開発に取り組むTree to Barチョコレートを扱うブランド3社を紹介します。

Tree to Barチョコレートとは、カカオの木(Tree)の栽培からタブレット(Bar)作りまでの、すべての工程を一括管理されて作られる高級チョコレートのこと。

これまでは、カカオの生産国とチョコレート製造国、消費国は異なるのが一般的でしたが、昨今は、カカオ生産国がカカオを栽培するだけでなく、チョコレートの製造までに関わる動きが生まれつつあります。

<Modaka モダカ>

モダカは、IBD(国際有機栽培機関に認定されたブラジル唯一の有機認定機関)認証済みの有機カカオ豆を使用しています。

モダカを経営するViana Lima(ヴィアナ・リマ)一家は、1896年より先祖代々、カカオ農園を守り、現在に受け継いできており、有機栽培システムの構築に10年以上もの年月を費やしています。

同一家によって、農薬や化学肥料を使わず丁寧に育てられた有機カカオ豆は、厳しい品質チェックの下、高品質のオーガニックチョコレートへと生まれ変わります。

カカオの栽培から商品化までの全工程をすべて手作りで行っており、植物油脂や乳製品など一切含まないヴィーガンフードです。

モダカのブランド名は、ヒンドゥー教の神ガネーシャ(障害を除去する善神)が左手に持っている大好物のモダカ(砂糖菓子)からきています。

<Fazenda SAGARANA ファゼンダ・サガラナ>

ファゼンダ・サガラナは、1800年代後半、最高品質のカカオと称されていたMaranhão(マラニョン)のみを使用した稀少な高級チョコレートを生産しているブラジル唯一のブランドです。

伝染病が蔓延する中で絶滅したとされていたマラニョンは”幻のカカオ”と称され、ブラジル三大カカオ生産地のバイーア州南部において、現代によみがっています。現在、マラニョンはカカオ全生産量の20%ですが、今後2年間で2倍以上に増産する計画です。

ちなみに、フランスの老舗ブランド「Bonnat(ボナ)」から販売されているタブレットのMaragnan(マラニョン)も、ファゼンダ・サガラナで収穫されたカカオを原料としています。

<Mendoá メンドア>

メンドアは、カカオの品質がチョコレートの品質を左右する、との哲学の下、チョコレート作りに先立ち、カカオの品質向上と徹底管理を目的した研究所を立ち上げました。最新鋭のテクノロジーを駆使し、製造プロセスの各段階において採取したサンプルの詳細データに基づき、徹底した分析を行う品質管理システムは他に類を見ません。

ブラジリアンナッツ、ココナッツ、コーヒーなど、ブラジルならではの特産品を取り入れたラインアップを取り揃えているのも大きな特徴です。

以上、3つのブランド商品の中で、私が最もおすすめするのは、モダカのオーガニック カカオ糖(写真)です。

有機カカオ豆に砂糖の衣をつけたもので、日本ではあまり見かけないカカオ生産国ならでは発想から生まれた商品です。カカオの苦味と砂糖のほどよい甘さがマッチしており、カカオの旨味をダイレクトに味わえます。自らが生み出すカカオに自信があるからこその商品と言えるでしょう。

(写真・文/井川裕美子)

著者紹介

井川裕美子 Yumiko Ikawa

井川裕美子  Yumiko Ikawa
2010年、ブラジル人との結婚を機に、ブラジル南部のサンタカタリーナ州に移住。大の甘党で、自称スウィーツホリック。特にチョコレートをこよなく愛する。地元のチョコレート工場で働いた後、自宅にてブラジル産有機カカオバターとカカオパウダーを使った高カカオチョコレート作りを始め、カカオのおいしさに目覚める。チョコレートの真髄であるカカオを肌で知るため、バイーア州イタカレのカカオ農園を訪れる。チョコレートを通じた日本とブラジルのさらなる交流拡大を目指し、チョコレート大使として、まずはブラジル産チョコレートを日本に普及すべく尽力中。

連絡先はyikawa79@yahoo.co.jp
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