クリチーバでデモ隊と軍警が衝突、市民と軍警213人が負傷

2015年 04月 30日

パラナ州デモ

4月29日午後、パラナ州都クリチーバ市の同州議会前で、州立校教師を中心とする公務員のデモ隊と軍警の衝突が起き、213人の負傷者(内43人が病院に搬送された)が出たと4月30日付伯字各紙が報じている。

衝突は、ベト・リシャ同州知事(民主社会党・PSDB)が提出した、パラナ州社会保障基金の一部を年金の支払いに使う事を認める法案の審議中に起こった。

衝突は、同法案に反対するデモ隊が軍警が州議会前に設けた防護柵や人垣を突破しようとしたことで始まり、少なくとも2時間は続いた。軍警は催涙ガス弾やゴム弾、放水銃をデモ隊に向けた。

クリチーバ市 デモ

衝突開始からしばらくは催涙ガス弾が絶え間なく投げられ、ヘリから撒かれたと考えたデモ隊参加者もいた。その一方、デモ隊は軍警に向けて石、木材、花火を投げつけた。

同州保安局はデモ隊に過激派のブラック・ブロックが紛れていたと釈明したが、デモ隊側は否定している。軍警も20人(「フォーリャ」紙より、「エスタード」紙では21人)が負傷、デモ参加者6人が逮捕された。デモ隊は公務員や教師、学生ら1万5千人で、州議会本会議場への入場を求めていた。

財政難に苦しむ同州政府は、現在赤字状態の州財政基金から払っていた年金受給者の一部を、同州公務員が積み立て、現在80億レアルの黒字を持つ州の社会保障基金の管轄下に移すことで、州の財政負担を年間17億レアル削る意向だ。

クリチーバ デモ

デモ隊と軍警との衝突の間、州議会前にある市役所には毎分のように、ゴム弾で負傷した人、擦り傷、出血、催涙ガスで涙が止まらなくなったり動悸が激しくなったりした人など、様々な負傷者が運び込まれ、病棟の様を呈していた。

議員とカメラマン各1人が、軍警の放った猛犬に噛まれた。カメラマンは少なくとも2人負傷しており、現場近隣の保育園の児童も催涙ガスのせいで気分が悪くなった。

検察局は軍警の対応が行き過ぎではなかったかを調査する意向だが、同州政府は「今回の衝突を大変嘆かわしく思う」とし、覆面集団による過激な行為を非難した。

※デモの写真は次ページ以降にも掲載しています。

(記事提供/ニッケイ新聞、写真1番上、2番目/Agência Paraná、写真下/Maurilio Cheli/SMCS)
4月29日、パラナ州クリチーバ市内でおきた市民デモと警察との衝突。写真下は運び込まれたけが人