ブラジルでは2000万円あれば利子だけで暮らしていける!?

2015年 10月 18日

ブラジル 金利

2015年9月現在、ブラジルの政策金利は14.25%です。筆者はブラジル銀行のLCI(定期預金のようなもの)にお金を預けているのですが、現在およそ11%くらいの金利がついています。

ということは同銀行のLCIで仮に年利11%で600,000レアル(約1,900万円)を運用した場合、毎月の金利収入は5,500レアル(17万円)となり、ブラジルの地方都市であれば十分に暮らしていける水準になってしまいます。2,000万円そこそこの元手で働かずに生きられるというのはすごい話ですね。

もちろん、金利が高い一方でインフレ率も高いので、利回りはインフレ率を考慮して考える必要があります。現時点では、制作金利は1425%、インフレ率は9%ほどなので、実質的な金利は5%くらいですね。

ところでブラジルは、富の格差が大きいということで有名です。最低賃金は月額800レアル(2万5千円)くらいですが、取締役クラスになると収入は月額30,000レアル(950万円)にもなります。それだけでも格差は大きいですが、それに加えてブラジルの高い金利が格差を広げる要因になっています。

最低賃金は、日本よりもかなり安いですが、生活必需品の値段は日本と比べて、そこまで安くはありません。月額800レアルでは家族を養っていくのも大変そうです。貯金なんてできないだろうと思います。ブラジル人は分割払いで買うのが好きなので、貯金どころか負債を抱えた人も多いでしょう。

一方で、ある程度の収入がある人は、余剰資金を作ることも難しくないでしょうから、冒頭に書いたように、高金利の預金で回して、働かずして800レアルを稼ぐことも難しくありません。増えた金利を複利で回していけば、ますますお金に困らなくなっていきます。

こうして、資産を持つ人と持たない人とでは格差が広がっていくというしくみになっています。

ブラジルではある程度の預金があれば働かなくても生活できるようになるのですが、このしくみは、給料800レアルで働いてくれている人が沢山いるからこそ回っているんだろうな、とふと思いました。

(文/唐木真吾、写真/Rafael Neddermeyer/Fotos Públicas)

著者紹介

唐木真吾 Shingo Karaki

唐木真吾 Shingo Karaki
1982年長野県生まれ。東京在住。2005年に早稲田大学商学部を卒業後、監査法人に就職。2012年に食品会社に転職し、ブラジルに5年8カ月間駐在。2018年2月に日本へ帰国。ブログ「ブラジル余話(http://tabatashingo.com/top/)」では、日本人の少ないブラジル北東部のさらに内陸部(ペルナンブーコ州ペトロリーナ)から見たブラジルを紹介している。
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