カーニバルより盛り上がる!? フェスタジュニーナ(6月祭)の起源

2016年 06月 20日

世界最大のクスクス

さて、そんなブラジルのフェスタ・ジュニーナには、風物詩ともいえる名物があります。

その1、風船燈籠。

かつては、フェスタ・ジュニーナの際に風船状の燈籠に灯をともして飛ばす習慣があったそうです。

燈籠は、お祭り期間の開始を伝えるとともに、天に居る聖人に人々の願いを届けるという意味があったそうです。ただし、現代においては、火事の危険があるため風船燈籠を飛ばすことは禁止されています。

その2、たき火。

フェスタ・ジュニーナと言えば、欠かせないものが「たき火」です。インディオの時代から、たき火は「悪い精霊を燃やす」意味があったそうです。カトリック教会は、前述した聖ヨハネの母、イザベルが聖母マリアにヨハネの誕生を遠くから伝達するためにたき火を焚いたと説明しています。

現代においては、火事の危険性があることから、たき火を焚く町は少なくなってきたと言われていますが、内陸部ではサン・ジョアンの日に家の前でたき火を焚いているのを今でも良く見かけます。

その3、トウモロコシ。

フェスタ・ジュニーナの時に欠かせない食事は、何と言っても蒸かしたトウモロコシです。その理由は、6月がちょうど収穫期に当たるからとのことです。蒸かしトウモロコシの他にも、トウモロコシで作ったケーキや、ポップコーン、コーンクリーム等、フェスタ・ジュニーナでは様々な調理法の料理が食べられます。

ブラジルといえば、カーニバル、サンバ、ボサノバなどが有名ですが、フェスタ・ジュニーナやフォフォーはそれに負けず劣らない個性を放っていますね。

(文/唐木真吾、写真/Rafael Lima)
2015年6月14日、ペルナンブッコ州カルアルー、アウト・ダ・モウラ。北東部では日常的に食べられる、トウモロコシからつくられる料理クスクスにちなんだ、世界最大のクスクスがふるまわれる

著者紹介

唐木真吾 Shingo Karaki

唐木真吾 Shingo Karaki
1982年長野県生まれ。東京在住。2005年に早稲田大学商学部を卒業後、監査法人に就職。2012年に食品会社に転職し、ブラジルに5年8カ月間駐在。2018年2月に日本へ帰国。ブログ「ブラジル余話(http://tabatashingo.com/top/)」では、日本人の少ないブラジル北東部のさらに内陸部(ペルナンブーコ州ペトロリーナ)から見たブラジルを紹介している。
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