【コパアメリカ2019】ブラジル2戦目、ベネズエラ戦はスコアレスドロー。2度のVAR判定に泣く!

2019年 06月 22日

フォンチノヴァ・スタジアム(写真/Antonio Cruz/Agência Brasil)

6月18日(火)21:30(日本時間19日(水)9:30)、サルヴァドールのフォンチノーヴァ・スタジアムで、ブラジルのグループリーグ2戦目がベネズエラ相手に行われた。

サルヴァドールといえば、 ブラジルに滞在した7年のうち、4年半を過ごした筆者とっては第2の故郷ともいえる大好きな街だ。

会場のフォンチノーヴァは、ブラジル1部の地元サッカーチーム、バイーアのホームスタジアム。しかし筆者が住んでいた2008~2012年にはフォンチノーヴァは使われておらず、初めてフォンチノーヴァでサッカーの試合を観たのは、2014年W杯の時だった。

というのも、フォンチノーヴァは2007年11月に、当時ブラジル3部だったバイーアが勝利し2部昇格を決め喜んだ観客たちが大騒ぎして、スタンドが落下し死亡事故が起こったことにより、しばらく閉鎖してしまったのだ。その後、2014年W杯での試合会場に決まり、そのまま残し改修するか、解体し新築するか、大論争が起こっていた。結局、解体新築することが決まり、旧スタジアムは2010年に取り壊された。その後、2014年W杯のために新築され、2013年に新装オープンしたのが現在のフォンチノーヴァだ。

さて。コパアメリカの初戦では、前半こそゴールを奪えず苦しんだブラジルだったが、後半は3ゴールを決めて快勝した。このままよい流れを続けたいところだったが、落とし穴は意外なところにあった。

この試合、ブラジルは、期待の若手、MFアルトゥール(バルセロナ)が先発出場を果たした。

直前の国際親善試合で負傷し、ネイマール同様出場できないのかと思っていたが、先発の座を奪うことができた。

アルトゥールがフェルナンジーニョ(マンチェスターシティ)から変わった以外は、初戦と同じだった。

試合は、ブラジルが攻め続けるが、ゴールは奪えない。

前半、ブラジルは一度ゴールネットを揺らしたが、ファウルがあったようで、ノーゴールだった。

前半の終盤あたりからベネズエラもいくつかチャンスを作っていたが、ブラジルが圧倒的に攻めていた。

前半終了時、ゴールを奪えないブラジルの選手たちに対し、観客席からは大きなブーイングが起こっていた。

後半開始から、FWヒシャーリソン(エバートン)に代わりFWガブリエウ・ジェズース(マンチェスターシティ)が出場した。

昨年のロシアW杯で先発出場を続けていたガブリエウ・ジェズースは、今季はチームでの出場機会も減り、セレソンでも控えに甘んじている。

ガブリエウ・ジェズースは、日頃のうっぷんを晴らすかのように、左サイドを駆け巡り、かなりのチャンスメイクを果たしていた。

そして、後半15分、そんなガブリエウ・ジェズースがゴールを決めた。かと、思われた。

ベネズエラからの抗議があるわけでもないのだが、突然VARの判断を仰ぐことになり、ブラジルのゴールは取り消された。

アシストしたFWフィルミーノ(リバプール)の位置がオフサイドポジションだったようだ。

ブラジルは、特に抗議することなく、がっかりした素振りも見せず、試合は再開された。

その後も攻め続けるブラジルだが、一向にゴールは生まれない。

残り10分ほどになり、スタジアム中にブーイングがさらに大きく響いた。

そして、終了間際の後半42分、ついにブラジルに待望のゴールが生まれた。

FWダヴィド・ネーレス(アヤックス)に代わり後半途中から入ったエヴェルトン(グレミオ)からのパスをコウチーニョ(バルセロナ)が決めたのだ。

これには、スタジアム中が喜んだ。ブラジルが劇的ゴールを奪い、誰もがブラジルの勝利を確信した。

今度は、誰がどう見てもゴールだろう、と思われたが、なぜかまたしても、VAR判定になった。

そして、ブラジルのゴールはまたも取り消されることになった。

特に抗議もなく、試合は再開され、そのままスコアレスドローで試合は終わってしまった。

VARがなければ、間違いなくブラジルが2-0で勝った試合だった。

VARは、試合に水を差し、私は個人的に好きではない。

しかし、これがルールである。

ブラジルリーグでも導入が始まっているし、大きな大会では、スタンダードになっている。

さて、グループリーグ2試合を終え、ブラジルの所属するグループAは、ブラジルとペルーが1勝1分けの勝ち点4で並んでいるが、得失点差でブラジルが辛くも首位にいる。

そして、グループリーグ最終節ではこの2チームが対戦する。

ブラジルにとって、1勝1分けの勝ち点4で、最終節のペルー戦で敗れ、グループリーグ敗退を喫した前回の2016年大会とまったく同じ状況だ。

今大会は地元開催であり、それは許されない。

注目のグループリーグ最終戦、ブラジル対ペルー戦は、22日(土)16:00(日本時間23日(日)4:00)、サンパウロのコリンチャンスアリーナで行われる。

(文/コウトク)

著者紹介

コウトク

2005年6月~2012年6月まで仕事の関係で、ブラジルに在住。ブラジル在住当時は、サッカー観戦に興じる。サントス戦については、生観戦、TV観戦問わずほぼ全試合を見ていた。
2007年5月のサンパウロ選手権と2010年8月のブラジル杯のサントス優勝の瞬間をスタジアムで体感。また、2011年6月のリベルタドーレス杯制覇時は、スタジアム近くのBarで、大勢のサンチスタと共にTV観戦し、優勝の喜びを味わった。

コラムの記事一覧へ