2020年 11月 4日 18:40

コロナ禍における働き方と人工知能(AI)の利用実態に関する調査結果を日本オラクル株式会社が公表した。
この調査は、オラクル・コーポレーションと、人事関連のリサーチおよびアドバイス業務を行うWorkplace Intelligence社が共同で実施したもので、アメリカ合衆国、英国、アラブ首長国連邦、フランス、イタリア、ドイツ、インド、日本、中国、ブラジル、韓国の11か国で、12,000人以上の従業員、マネージャー、人事部門リーダー、経営幹部を対象に行われた。
現在職場でAIを活用していると回答した人はブラジルでは54%であり、11カ国の中で4位だった。11カ国の平均は50%で、インド79%、中国76%、アラブ首長国連邦58%、ブラジル54%、米国53%、韓国46%、フランス41%、イタリア40%、ドイツ37%、英国36%。
調査内容と結果を監修した慶應義塾大学大学院経営管理研究科の岩本隆特任教授は「コロナ禍は世界のあらゆる国でメンタルヘルスに悪い影響をもたらしており、ウィズコロナ/ポストコロナ時代では、企業は、従来の生産性向上に対する課題を克服すると同時に、従業員のメンタルヘルスに対するケアを強化することも重要になってきます」と語った。
同特任教授は、メンタルヘルスケアについては人よりもテクノロジーに期待する従業員が多く、この領域でもテクノロジーの導入・活用が重要になるとも指摘した。
「また、2020年度も、2019年度に引き続き、職場でのAI活用ができている比率は、日本は11カ国中最下位でした。その状態が影響してか、職場でのAI活用が進んでいる国々では、コロナ禍により常態化したリモートワークをうまく活用して生産性が上がっているのに対し、日本では、リモートワークをうまく活用できておらず、生産性が全体的に下がっています」(岩本隆特任教授)
調査対象の70%の人々が、これまでのどの年よりも2020年は職場でストレスと不安を感じたと回答したという。国別では、インド(84%)、UAE(81%)、米国(74%)、中国(73%)、フランス(71%)、ブラジル(70%)、韓国(67%)、英国(62%)、イタリア(62%)、日本(61%)、ドイツ(52%)となった。
このストレスと不安の増加は、世界の従業員の78%のメンタルヘルスに悪影響を及ぼし、ストレスの増加(38%)、ワーク・ライフ・バランスの喪失(35%)、極度の疲労(燃え尽き症候群)(25%)、社交がないことによる気力減退(25%)、孤独感(14%)を生じさせていると、同調査は指摘している、
また、調査対象の85%の人々が、職場でのメンタルヘルスの問題(ストレス、不安、極度の疲労)が家庭生活に影響していると回答した。国別では、インド(93%)、UAE(91%)、ブラジル(90%)、中国(89%)、韓国(89%)、フランス(86%)、米国(83%)、英国(81%)、イタリア(78%)、ドイツ(77%)、日本(76%)となった。
このうち、最も多く見られた影響は、睡眠不足(40%)、体調不要(35%)、家庭での幸福感の減少(33%)、家族関係の悪化(30%)、友人からの孤立(28%)となった。
また、62%の人々はコロナ禍以前の仕事内容よりもリモートワークに魅力を感じ、家族との時間が増えた(51%)、睡眠時間の増加(31%)、作業スピードが上がった(30%)と回答した。
メンタルヘルスのサポートを人よりもロボットに頼りたいという回答は、82%となった。国別では、インド(92%)、中国(89%)、韓国(87%)、UAE(86%)、ブラジル(86%)、日本(82%)、米国(75%)、イタリア(71%)、ドイツ(70%)、英国(69%)、フランス(68%)となった。
サポートをロボットに頼りたい理由として、ロボットは「ジャッジメント・フリー・ゾーン(無批判区域、決めつけのない環境)」を与えてくれる(34%)、問題を共有する上での先入観のない感情のはけ口を提供してくれる(30%)、医療に関する質問に迅速に回答してくれる(29%)があげられたという。
調査対象の68%は、仕事上のストレスや不安を上司よりもロボットに話したいと回答し、80%は、ロボットをセラピストまたはカウンセラーとして利用することを受け入れているという結果となった。
また、75%が、仕事でのメンタルヘルスの改善にAIが役立ったと回答。その主な利点として、仕事の効率化に必要な情報の提供(31%)、作業の自動化と仕事量の削減による極度の疲労の防止(27%)、仕事の優先順位付けによるストレスの軽減(27%)が挙げられた。
AIは、過半数の労働者(51%)の週間労働時間の短縮と、より長い休暇の取得(51%)にも貢献することも浮かび上がったという。回答者の半数以上が、AIは従業員の生産性(63%)、仕事の満足度(54%)、全体的な幸福(52%)を向上させていると考えている結果となった。
(文/麻生雅人)
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