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おめでとう、パウメレンシ! リベルタドーレス2020決勝は、パウメイラスがブラジル勢対決を制す

1月30日、マラカナンスタジアム。コパ・リベルタドーレス2020で優勝したパウメイラス(写真/Cesar Greco/Palmeiras)

パウメイラスとサントスというブラジル勢同士の対戦となったコパ・リベルタドーレス2020の決勝戦が、1月30日(土)17:00(日本時間31日(日)早朝5:00)に、リオデジャネイロのマラカナンスタジアムで行われた。

コパ・リベルタドーレス2020は準決勝までのすべての試合を無観客で行っていたが、決勝戦でははじめて観客を入れての試合となった。観客数は10%までということで、7800人。メインスタンドのみを開放し、大会関係者、そしてパウメイラス、サントスのサポーターなどが入っており、マスク姿で応援していた。

1月30日、マラカナンスタジアム。コパ・リベルタドーレス2020決勝戦のパウメイラス対サントス(写真/Cesar Greco/Palmeiras)

試合は、サンパウロのクラシコとなっただけに、激しいチャージなどが随所に見受けられたが、固く締まった好ゲームとなった。全体を通してほぼ互角だが、どちらかというとサントスの方がチャンスは多く作っていた。

両チームともに決め手に欠き、0-0で後半アディショナルタイムに入った。アディショナルタイムは何と10分。これだけ長いのは珍しい。

延長戦に突入するかと思われたアディショナルタイム6分が過ぎたときに事件が起こった。

サントスの監督クッカにレッドカードが提示され、退場処分となったのだ。

ピッチ脇のテクニカルエリアにいたクッカの足元にボール飛んできた。クッカは、ボールを拾い上げようとしたが、拾い上げるのにおぼつかず、ボールはピッチから少し離れたところに動いてしまった。それが、近づいてきたパウメイラスの選手に対し、故意に妨害したように判定されたのだろう。遅延行為とみなされ退場処分になってしまったのだ。

これは、テレビの中継画面で見る限り、特に悪質とは思えなかった。たまたまボールがそのように動いてしまったのだろう。サントスが勝っていればわかるが、0-0なので特に遅延させる理由はない。この場面でレッドカードが出されたのはあまりに唐突で、不可解に思えた。

この日のクッカは冷静だった。冷静すぎた、と言ってもいいだろう。

この不可解な判定に不満そうな顔はしたが、特に大きく抗議することもなく、テクニカルエリアから離れ、サントスサポーターのいる観客席に駆け上がっていった。

サンチスタたちから熱烈な歓迎を受けていた。

クッカといえば、ブラジルのクラブを中心に渡り歩くベテラン監督の一人だ。

ブラジルのクラブでは、少しでも成績が悪いとすぐに監督を解任するので、次から次に監督が変わる。1シーズンで、監督が2、3度交代することもざらだ。そのため、このような有力な監督が、常にいろいろなチームを移動して指揮を執っているのだ。

現ブラジル代表監督で長年コリンチャンスを率いたチチや、少し前までパウメイラスを率いたルシェンブルゴ、現・柏レイソル監督のネルシーニョ・バチスタなどはその代表例だ。

写真は2012年、アトレチコ・ミネイロの監督時代のクッカ(写真/Bruno Cantini/Arquivo Atlético Mineiro)

クッカもまた、筆者がブラジルに在住していた当時から、常にどこかのクラブチームの監督を務めていた。筆者の印象では、2006~2008年に率いたボタフォゴのイメージが強いが、過去にはサントスでも2008年に監督を務めていた。

当時のサントスには、日系人ストライカーのホドリゴ・タバタが主力として在籍していたが、クッカが監督に就任して放出が決まり、ホドリゴ・タバタを応援していた私にとって、当時はあまりいい印象を持っていなかった。

情熱的なモチベータータイプで、選手たちを鼓舞する姿はとても印象的だ。

本大会準決勝のボカジュニオール戦などでは、ピッチサイドで大声を出し、全身で喜怒哀楽を表し、選手たちを鼓舞していた。

しかし、この日の決勝戦では、とてもおとなしい印象だった。

そんなクッカが退場処分となり、客席で大勢のサンチスタに大歓迎を受けた直後、サントスにとっては悪夢、そしてパウメイラスにとっては歓喜の瞬間が訪れた。

右サイド中盤にいた元アルビレックス新潟のホニがゴール前に上げたボールを、途中出場のブレーノ・ロペスがゴールを決めたのだ。

この瞬間、ときが止まったようだった。一瞬の隙をつかれた感じだ。

サッカーには魔の時間帯というようなこのようなシーンがたまに見受けられる。

1993年のドーハの悲劇だったり、2011年のアジアカップ決勝で李忠成が決めたゴールなどはその代表的なケースだろう。

クッカの退場騒動もあり、アディショナルタイムは長く取られたが、13分を経過したときに試合終了のホイッスルが鳴った。

パウメイラスの19年ぶり2度目の優勝が決まったのだ。

1月30日、マラカナンスタジアム。コパ・リベルタドーレス2020で優勝したパウメイラス(写真/Cesar Greco/Palmeiras)

過去何度も、パウメイラス対サントスという対戦は行われている。

しかし、そんなそれこそ数えきれないほど行われてきたクラシコの中でも、もっとも価値の高いクラシコだったと思う。

両チームにとって、この試合だけは勝ちたかっただろう。過去、どんなクラシコに負けても、この一つのクラシコに勝つ方がよっぽど価値がある、ともいえる試合だったのではないだろうか。

ほんの一瞬の出来事によって、サンチスタにとっては悪夢、パウメレンセにとっては歓喜という天地の差を味わうことになった。

おめでとう、パウメレンシ!

パウメイラスのクラブ関係者、そしてパウメレンシの皆さんに対して、心からおめでとうという言葉を送りたいと思う。

リベルタドーレスのタイトルを取ること。

それは、ブラジルのクラブのサポーターにとって最上の喜びを味わうことと言っても過言ではないだろう。

筆者も、ブラジル在住中の2011年にその歓喜を味わったのでよくわかる。

さて、優勝を飾ったパウメイラスは、この後すぐに、世界一のクラブを決めるクラブワールドカップを戦うことになる。

今回、クラブワールドカップ2020年大会は、中東 カタールを会場に、2月4日(木)~11日(火)の日程で行われる予定だ。

南米王者のパウメイラスは、2月7日(日)の準決勝から登場する。対戦相手は、北中米カリブ王者のティグレス(メキシコ)とアジア王者の蔚山(韓国)の勝者となる。

パウメイラスは、サンパウロの4大クラブ(コリンチャンス、パウメイラス、サンパウロ、サントス)では唯一世界王者になっていない。

クラブの威信をかけて、是が非でもほしいタイトルだろう。

前回、1999年のトヨタカップ(クラブワールドカップの前身)では、ベッカム、ロイ・キーン、ギグスなどを擁したマンチェスター・ユナイテッド相手に0-1で敗れている。

近年のクラブワールドカップでは、2012年のコリンチャンスを最後に、南米代表は優勝できていない。

順当にいけば、11日(火)の決勝で、ヨーロッパ王者のバイエルン・ミュンヘン(ドイツ)と対戦することになる。

南米を、そしてブラジルを代表するパウメイラス。クラブワールドカップでの戦いぶりにも注目したい。

(文/コウトク)■関連記事
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著者紹介

コウトク  2005年6月~2012年6月まで仕事の関係で、ブラジルに在住。ブラジル在住当時は、サッカー観戦に興じる。サントス戦については、生観戦、TV観戦問わずほぼ全試合を見ていた。2007年5月のサンパウロ選手権と2010年8月のブラジル杯のサントス優勝の瞬間をスタジアムで体感。また、2011年6月のリベルタドーレス杯制覇時は、スタジアム近くのBarで、大勢のサンチスタと共にTV観戦し、優勝の喜びを味わった。現在、スポーツナビのブログ「ブラジルサッカーレポート」(http://www.plus-blog.sportsnavi.com/kohtoku/)を執筆中。