ブラジル男子サッカー、オリンピック3大会連続で決勝進出
2021年 08月 5日
コロナ禍で開催が危ぶまれた東京オリンピック。ほとんどの会場が無観客で行われているとはいえ、連日熱い戦いが繰り広げられている。
サッカーは男女ともに準決勝まで終了し、3位決定戦と決勝を残すのみとなっている。
ブラジルは、男女ともに出場している数少ない国の一つだ。男女とも出場している国は、開催国の日本をはじめ、ブラジル、オーストラリア、ニュージーランドの4か国しかない。
ブラジル女子は、残念ながら準々決勝でPK戦の末敗退し、ベスト8で大会を後にした。FIFA最優秀選手賞を過去6回も受賞している生きるレジェンド、マルタも健在で、マルタを中心に素晴らしいサッカーを魅せてくれていたので、この結果は残念で仕方がない。
一方の男子は、苦しみながらも決勝までコマを進めている。ブラジルのオリンピック決勝進出は、ロンドン、リオに続き3大会連続になる。
前2大会では、いずれもネイマール(パリサンジェルマン)が出場し、ほかにもかなりの有力選手を集め、前評判も高かった。
しかし、今大会のメンバーは、前2大会に比べ迫力に欠ける。
全盛期のバルセロナで不動の右サイドバックとして一時代を築いたダニエウ・アウヴェス(サンパウロ)をオーバーエイジで招集しているが、フル代表でも主力として活躍しているのはヒシャーリソン(エバートン)ぐらいで、チーム全体でみると小粒な印象はぬぐえない。
グループリーグの試合を見ていないので何とも言えない部分もあるのだが、決勝トーナメントの2試合を見る限り、今一つ攻撃のリズムが嚙み合っていないようにみえる。
注目のダニエウ・アウヴェスだが、38歳になり、さすがに衰えは隠しきれない。2年前の優勝したコパアメリカでは大活躍して大会MVPに輝いたが、今大会では精彩を欠いている。
よくも悪くも10番を背負ったヒシャーリソンのチームになっており、彼の気迫は伝わるのだが、孤軍奮闘ぶりが際立っている。相手チームからのファウルも圧倒的に受けており、まるでネイマールのようだ。
さて、そんなブラジル代表。準々決勝のエジプト戦は1-0で勝利したが追加点を奪うことは叶わなかった。
続く準決勝のメキシコ戦は0-0で延長戦でも決着がつかずPK戦の末、薄氷の勝利。何とか決勝まで進むことができた。
対戦相手はスペイン。今大会随一のメンバーを集めているスペインは優勝候補の筆頭だろう。つい1か月ほど前に行われたユーロ(ヨーロッパ選手権)を戦ったフル代表を数多く集め、最も本気度の高いチームといえる。
しかし、そんなスペインも決して楽に勝ち上がってきたわけではない。
グループリーグでは1位通過とはいえ1勝2分けと完全燃焼できず。決勝トーナメントに進んだ後も、準々決勝ではコートジボワール相手に延長戦までもつれ、日本相手の準決勝でも決定力に欠き延長戦の末1-0で辛うじて勝ち上がることができた。ブラジルサッカー好きの日本人なら誰もが憧れる、日本対ブラジルという夢のような決勝戦は、残念ながら、あと一歩というところで実現しなかった。
ブラジル対スペインという対戦カードで迎えることになった決勝戦。
お互い苦しみながら勝ち進んできたとはいえ、この両チームは底力では他を圧倒しているだろう。
両チーム、いずれも地元開催では優勝している。スペインは1992年のバルセロナ大会で、ブラジルは2016年のリオデジャネイロ大会で優勝している。
そんなことを考えると、今大会では日本に優勝してほしかったと思ってしまうが・・・。
新エース、ヒシャーリソン中心の若きブラジルが、本気のスペイン相手にどのようなサッカーを見せてくれるか。注目したい。
決勝戦は、8月7日(土)20:30から横浜国際競技場で行われる。
(コウトク)