ブラジルの定番の軽食「パステウ」を広めたのは日本人移民だった!?
2021年 12月 5日
サトウキビ大国のブラジルで普遍的な飲みもののひとつ、カウド・ヂ・カーナ(サトウキビを絞ったジュース。ガラッパとも呼ばれる)。専用の搾汁機でサトウキビをその場で絞ってジュースにして提供する屋台は、青空市でも馴染みだ。
青空市の屋台でもうひとつポピュラーなのが、パステウ。ひき肉、チーズ、パウミット(ヤシの新芽)などの具を入れた小麦粉の生地を揚げた、パイのような、または揚げ餃子のような軽食だ。
そして、このパステウとサトウキビジュースの組み合わせは、青空市(特にサンパウロ)の人気定番ゴールデンコンビでもあるが、もともと切っても切れない間柄でもある。
パステウのレシピでは、揚げる前に小麦粉をとく際に、カシャッサ(サトウキビジュースを発酵・蒸留させて作られた蒸留酒)を入れるのが定番だ。これにより、揚げた時に皮がパリっとする。
ところで、そんな青空市の人気メニューのパステウとサトウキビジュースは、いつ誕生して、いかにブラジルでポピュラーになったのか。現地メディア「G1」が、その歴史について報じている。
まずはパステウ。そのルーツには、2つの説があると「G1」はいう。
ひとつは、ヨーロッパ由来説。主にポルトガル人によって伝えられたパステウ(パイ)屋さんが源流だという説があるという。
しかし、ポルトガルから伝わった“パステウ”はお菓子としてのパイ。現在パステル・デ・ナタ(またはパステル・デ・ベレン)と呼ばれるエッグタルトのようなお菓子だ。したがって名詞(パステウ)としては同じだが、青空市でおなじみのパステウにつながるとは考えにくいと、全国職業訓練機関(SENAC)サンパウロ支部ガストロノミーコースのマルシア・ユキエ・イケモト教授は語る。
ヨーロッパ由来説にはもうひとつ、イタリア移民が伝えたフォカッチャが源流ではないかという説もあるそうだが、これも、フォカッチャは料理であるが揚げ物ではなく焼き物なので、やはり可能性は低いという。
2番目の説は、アジア由来説。ルーツは中国の食べ物ながら、日本人移民がブラジルで広めたとする説だ。
餃子や春巻きがブラジルに伝わった時、現地の材料で適応させたことから、米粉の代わりに小麦粉、酢と酒の代わりにカシャッサが使われるようになり、現在のパステウになったというものだ。そしてこのパステウを広めるたのは、日本人だったという。
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