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UEFAチャンピオンズリーグ決勝、ブラジル人FWヴィニシウス・ジュニオールの決勝ゴールでレアルマドリッドが最多優勝飾る

アディダスが提供したUEFAチャンピオンズリーグ 2021-22決勝戦のボール(写真/Divulgação/Adidas)

今年もUEFAチャンピオンズリーグの決勝戦がやってきた。世界中のサッカーファンにとって最も楽しみな試合とも言えるのではないだろうか。

私も、ブラジル在住中から欠かさず、ヨーロッパサッカーを常に見ていなくても、チャンピオンズリーグの決勝だけは必ず見ていた。

今季、2021-22シーズンの決勝戦は、5月28日(土)21:36(日本時間29日(日)早朝4:36)に、フランス パリ近郊サンドニのスタッド・ド・フランスで行われた。

当初は、ロシアのサンクトペテルブルクで行われる予定だったが、ロシアのウクライナ侵攻により会場が変更されている。

対戦カードは、リヴァプール(イングランド)対レアルマドリッド(スペイン)。この決勝カードは2017-18シーズンと同じで、その時はレアルマドリッドが3-1で勝利している。当時、絶好調だったリヴァプールFWのモハメド・サラーが前半途中で負傷交代してしまうアクシデントがあり、相当残念に思ったことを覚えている。

当初のキックオフは4時00分の予定だったが、4時になっても始まる気配がない。何と、キックオフが15分遅れるとのこと。理由は、大量の偽造チケットが出回ったことが原因でスタジアムの入口で騒動が起こり、リヴァプールのサポーターの入場が遅れることになったという、今まで聞いたこともないことによるものだった。

15分が30分へ延ばされ、結局当初の予定より36分遅れの現地時間21時36分に試合が始まった。

試合開始に先立ち、オープニングのショーが行われた。カミラ・カベロという女性歌手が1曲歌うというものだった。

私は、この歌手のことを知らなかったが、キューバ系アメリカ人で有名な歌手のようだ。しかし、いくら有名な歌手とはいえ、この人選には違和感を覚えざるを得ない。地元フランスの歌手ならわかるが、アメリカ人歌手をわざわざ呼んで、それもサッカーやチャンピオンズリーグと関係のない歌を歌うということにはまったく興味を抱かれないのではないだろうか。

そのショーが終わり、チャンピオンズリーグのアンセムに乗って選手が入場したが、このシーンのほうが何十倍も心躍らされた。

チャンピオンズリーグのアンセムは心躍らされる。以前、2人組のチェリストのユニット 2cellosがチェロ2本でチャンピオンズリーグ決勝の舞台でこのアンセムを演奏したことがあったが、素晴らしく観客を魅了していた。

さて、毎回、ブラジル人選手に注目しながら見ているが、今回も充実したメンバーが揃った。リヴァプールからは、GKのアリソン、ボランチのファビーニョ、そしてレアルマドリッドからは、CBのミリタォン、ボランチのカゼミーロ、そしてFWのヴィニシウス・ジュニオールが先発メンバーとしてピッチに立った。この5人は全員、今月6日に予定されている日本代表戦のブラジル代表メンバーにも選ばれている。

何と言っても注目は、ヴィニシウス・ジュニオールだ。

今シーズン、選手層の厚いレアルマドリッドの中で、3トップの左を定位置として確保した。いまだ衰えを知らないレジェンド的FWのベンゼマを中央に据え、左にヴィニシウス・ジュニオール、右には若手ブラジル人FWのロドリゴだったりウルグアイ人のフェデ・ヴァルヴェルデだったりするが、ベンゼマ、ヴィニシウス・ジュニオールのコンビは鉄板で、この2人でゴールを量産している。

この日の右のトップはウルグアイ人のヴァルヴェルデで、ロドリゴは終了間際での途中出場だったが、ヴァルヴェルデも素晴らしい選手であることは間違いない。この日も素晴らしい動きを見せてくれた。

準決勝2ndレグでレアルマドリッドはマンチェスターシティ(イングランド)相手に、敗退濃厚の中、後半45分、そしてアディショナルタイムに入った後半46分に立て続けにロドリゴがゴールを決め、延長戦に持ち込み、ベンゼマが決勝ゴールを決めて、決勝進出を決めている。そんな奇跡的な決勝戦進出の立役者であったロドリゴだが、この日はベンチスタートだった。

2018-19シーズン決勝で、同じく準決勝2ndレグで奇跡のハットトリックを決めて決勝進出の立役者になったトットナム(イングランド)のブラジル人FWルーカスが決勝ではベンチスタートとなったが、同じような図式だった。

さて、試合は、入りこそ互角な感じはしたが、前半15分頃にはリヴァプールは波状攻撃を仕掛け、何本も立て続けにシュートを打った。リヴァプールがゲームを支配し、レアルマドリッドはカウンターでチャンスをうかがうという図式になった。

対照的な戦い方になったが、何と最初にゴールネットを揺らしたのはレアルマドリッドだった。

前半43分に、ベンゼマがゴールを決めたかと思われたが、VARチェックが入り、結局オフサイドでゴールにはならなかった。

前半は0-0で終えた。

前半を終えて、シュート数は、リヴァプールが10本(内枠内5本)、レアルマドリッドは1本(内枠内0本)だった。

リヴァプールが一方的に攻めてはいるが、レアルマドリッドの強力カウンターも侮れない。対照的な戦い方だったが、見ているほうとしては決してつまらなくない試合だった。

後半も図式は変わらないが、ゴールを決めたのはレアルマドリッドだった。

後半14分、ヴァルヴェルデからのシュート性のクロスをうまくゴール前に走り込んだヴィニシウス・ジュニオールが決めたのだ。

さすが、決めるときにきちんと仕事をする。今もっとも期待されていると言っても過言ではないブラジル人FWは、まだ21歳。これからがますます楽しみな存在だ。

1点先制されたリヴァプールは、その後も攻め続け、サラーを中心に何度もシュートを放つが、それを悉くレアルマドリッドのGKクルトワがセーブし続けた。

1点を追うリヴァプールは、少し停滞気味になったが、後半32分にブラジル人FWフィルミーノが入ったことでリズムを取り戻した。

ほんの1~2年前までは、チーム(リヴァプール)でも代表(ブラジル)でも、エースストライカーとして絶対的な地位を築いていたフィルミーノだが、最近ではチームでの序列も下がり、出場機会もそれほど多くない。今回のブラジル代表の日本戦のメンバーからも外れている。

しかし、中盤から前線までプレーエリアは広く、ボールタッチも多く、チームの攻撃を活性化させた。

とはいえ、リヴァプールにとっては1点が遠く、そのまま1-0でレアルマドリッドが勝ち、史上最多となる14回目の優勝を決めた。

試合全体のスタッツを見ると、ボール支配率は両者50%。リヴァプールがかなり支配していたように見えたのでこの数字は意外だった。

シュート数は、リヴァプール23本(枠内9本)、レアルマドリッド3本(1本)。

いかに、リヴァプールが攻め続けていたかがわかる内容だ。

しかし、見ているほうからすると、一方的な試合という感じでもなく、十分に見応えがあった。レアルマドリッドのカウンターも十分に魅せてくれた。

右からの攻撃は、右SBカルバハルの抜け出しを効果的に使い空中戦が中心、左からの攻撃は、左ウイングのヴィニシウス・ジュニオール、左SBメンディ、そしてセンターFWベンゼマによって地上を這いつくような突破をみせる。これはこれで見応え十分だ。

この試合のMVPはGKのクルトワだった。文句なしの選出だろう。サラーを中心とした分厚い攻撃を防御した。枠内シュート9本をすべてセーブし、優勝に貢献した。

そして、ビッグイヤー(優勝カップ)を掲げたのは、何とマルセロだった。

2006-07シーズンから実に16シーズンもの間、レアルマドリッドで主力とプレーしてきたブラジル人SBのマルセロ。今シーズンで退団がほぼ決まっており、この日はベンチに入ったままプレーすることなかったが、優勝セレモニーではベンゼマからキャプテンマークを譲り受け、ビッグイヤーを掲げ仲間たちと一緒に優勝の喜びを分かち合った。いいシーンだった。

ヨーロッパ各国の主要リーグは前週末で終了しており、チャンピオンズリーグの決勝をもって、今シーズンのヨーロッパサッカーは全日程を終了した。

やはり、レベルの高いヨーロッパのサッカーを見るのはおもしろい。そんな中でも、ブラジル人選手たちの活躍を見ることができ、とても嬉しく感じる。

(文/コウトク)

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著者紹介

コウトク  2005年6月~2012年6月まで仕事の関係で、ブラジルに在住。ブラジル在住当時は、サッカー観戦に興じる。サントス戦については、生観戦、TV観戦問わずほぼ全試合を見ていた。2007年5月のサンパウロ選手権と2010年8月のブラジル杯のサントス優勝の瞬間をスタジアムで体感。また、2011年6月のリベルタドーレス杯制覇時は、スタジアム近くのBarで、大勢のサンチスタと共にTV観戦し、優勝の喜びを味わった。現在、スポーツナビのブログ「ブラジルサッカーレポート」(http://www.plus-blog.sportsnavi.com/kohtoku/)を執筆中。