ヒカルド・バセラール、全ての楽器を一人で演奏した新作を発表

2022年 08月 12日

ヒカルド・バセラール(写真/Leo Costa)

ピアニスト、作曲家、プロデューサーのヒカルド・バセラールが今月(2022年8月)、5枚目となるアルバム「コンジェニト」を発表した。

アルバム「コンジェニト」は、ルイス・メロジーアによる表題曲をはじめ、MPBやサンバのカヴァー曲集。シコ・ブアルキ、ジャヴァン、イヴァン・リンス、ルイス・メロジーア、カエターノ・ヴェローゾ、ジウベルト・ジウなどの曲を、独特の取り組みで再構築している。

「リズムをモザイク状に組み合わせ、自分が好きな曲、統一感のある曲を集めようと思いました。このアルバムは、話法や歌を取り込み、原曲を再解釈する試みです」(ヒカルド・バセラール)

録音は、セアラー州フォルタレーザ市にヒカルドが設立したJasmin Studioで行われ、プロデュース、アレンジのみならず、すべての楽器の演奏もヒカルド・バセラール自らが手掛けており、使う楽器も曲ごとにヒカルドが抱いたイメージに合わせて選ばれている。

例えば、レニーニの「オ・ウッチモ・ポル・ド・ソウ」(レニーニ&スザーノの1993年作「オ―リョ・ジ・ペイシ」収録)についてバセラールは「私は前からこの曲が示唆するイメージが好きでした。今回私は、サウンドを探求し、この曲をブラジル文化の幾つものエッセンスで溢れる音の饗宴に仕上げたのです」と語る。

「夢の中にこの曲のヴォーカル・アレンジが出てきて、目が覚めときに頭の中に残っていました。ハープを彷彿とさせる中世起源のダルシマーなどのエキゾチックな楽器を、ピアノ、ストリングス、フルートと組み合わせました。アラブ音楽、ブラジル北東部の音楽、そしてサンバ・ヂ・ホーダ(バイーア地方に起源を持つサンバの源流のひとつ)の影響も受けています。ビリンバウを買ってきて数日間練習し、録音できるようにもなりました」(ヒカルド・バセラール)

アルバム「コンジェニト」の収録曲は以下。

1 – O último pôr do sol (Lenine/Lula Queiroga)
2 – She walks this Earth (Ivan Lins/Vitor Martins/Chico César/Brenda Russell)
3 – Congênito (Luiz Melodia)
4 – Morena dos olhos d’água (Chico Buarque)
5 – A tua presença morena (Caetano Veloso)
6 – Estrela (Gilberto Gil)
7- Mentiras (Adriana Calcanhotto)
8 – É preciso perdoar (Carlos Coqueijo/Alcyvando Luz)
9 – Paralelas (Belchior)
10 – Estrela da terra (Dori Caymmi/Paulo César Pinheiro)
11 – Lambada de serpente (Djavan)
12 – Maracatú Atômico (Jorge Mautner/Nelson Jacobina)

CDによる販売のほか、Spotify、Apple Music、Tidal、Deezer、Amazon Musicで配信中。

(文/麻生雅人)