リベルタドーレス2022決勝、フラメンゴがガビゴウのゴールで3年ぶり3回目の優勝を飾る

2022年 11月 2日

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ガビゴウことガブリエウ・バルボーザ(写真/Alexandre Vidal/Flamengo/Divulgação)

2022年10月29日(土)15:00(日本時間30日(日)早朝5:00)に、エクアドル グアヤキルで南米のクラブNo.1を決めるコパ・リベルタドーレスの決勝が行われた。フラメンゴとアトレチコ・パラナエンセという対戦カードで、3年連続でブラジル勢対決となった。

最近のリベルタドーレス杯では、ブラジル勢の強さが目立っている。特にフラメンゴとパウメイラスは毎年のように決勝に進んでおり、この2チームはブラジルのチームの中でも抜きんでている感がある。

今大会の決勝は、そんなフラメンゴと、準決勝でパウメイラスを破ったアトレチコ・パラナエンシという対戦カードになった。

アトレチコ・パラナエンシは、パラナ州クリチバをホームとするチームだ。それほど強いイメージはないが、ブラジル全国選手権では2001年に優勝しており、リベルタドーレス杯では2005年に準優勝している。

私は2005年から2012年までブラジルに在住していたが、2005年7月、ちょうど渡伯した直後にリベルタドーレス杯の決勝が行われ、その年もブラジル勢対決になっておりサンパウロ相手に4-0で敗れた試合は強く印象に残っている。当時住んでいたサンパウロの街は花火が上がり、近くのバールから大きな歓声が響き渡り街全体が大騒ぎだったことを思い出す。

アトレチコ・パラナエンシにとっては、その2005年以来の決勝進出となった。

今シーズンの大きなニュースとしては、ブラジル代表の常連でありマンチェスター・シティで長らく活躍したフェルナンジーニョが加入したこと。そしてかつての名称フェリパォンこと、ルイス・フェリッピ・スコラーリが監督についていることだろう。

フェリパォンは、2002年のW杯日韓大会、また2014年のブラジル大会時のセレソンの監督であり、ブラジルではもっとも知られた監督と言えるだろう。

一方のフラメンゴはブラジル随一の選手層を持つ。DF陣には長らくセレソンの常連だったCBのダヴィド・ルイス、左SBのフィリペ・ルイス、中盤にはウルグアイ代表のデアラスカエタ、元ブラジル代表のエヴェルトン・ヒベイロ、そして前線には絶好調で最近セレソンにも召集されているペドロ、そして長らくフラメンゴで活躍するガビゴウことガブリエウ・バルボーザも健在している。

大方の予想は、フラメンゴ有利というものだが、名将フェリパォンがどのような戦術を仕掛けてくるかに注目が集まった。

リベルタドーレス杯では2019年から決勝戦が中立地での一発勝負となり、UEFAチャンピオンズ・リーグのように決勝戦がセレモニーを伴い華やかになった。エクアドルというブラジルから遠く離れている場所で行われたが、両チームのサポーターが集まり、試合前には派手なセレモニーも行われた。

エクアドルというとそれほどサッカーの強豪というイメージはないが、緑の芝生がとても映えきれいなピッチを持ったスタジアムだった。

試合は大方の予想に反してというべきか、フラメンゴの圧倒的な攻撃力をアトレチコ・パラナエンシがうまく消しているという印象だった。フェリパォンの戦術が冴え、中盤のフェルナンジーニョがよく効いていた。

フラメンゴがボールを支配するが、フェルナンジーニョを中心にボール奪取してからのカウンターからアトレチコ・パラナエンシのほうが決定的なチャンスをつくり出していた。

一方のフラメンゴはダヴィド・ルイスを中心としたCBがハーフウェイライン近くまで持ち上がり攻撃の糸口を探るがうまく攻めきれず自慢の攻撃陣も沈黙気味だった。

フラメンゴは左SBのフィリペ・ルイスがアクシデントにより前半20分に途中交代を余儀なくされた。フィリペ・ルイスは昨年の決勝でも同様に前半途中で交代を余儀なくしており、ケガによる交代は2年連続となる。37歳になる大ベテランだが無念だったことだろう。

前半終了間際の43分に、アトレチコ・パラナエンシはCBのペドロ・エンヒキが2枚目のイエローカードをもらい退場になってしまった。これで、今までうまくはまっていたフェリパォンの計画が狂ってしまった。

そして前半終了までの5分程度の間に、フラメンゴはエヴェルトン・ヒベイロの個人技からゴール前にクロスを入れ、前半のアディショナルタイムにガビゴウが難なくゴールを決めたのだ。ガビゴウは本当に勝負強い。

ハーフタイムにフェリパォンが修正してくることは間違いないので、その前に得点を奪えたことはフラメンゴにとってとても大きいことに思えた。

後半両者ともに得点は動かず、そのまま1-0でフラメンゴが優勝を決めた。

アトレチコ・パラナエンシは17年前の雪辱を晴らすことはできず、今回も準優勝止まり。しかし、名実ともにブラジル屈指の強豪チームといえるフラメンゴ相手に十分戦った。

一方のフラメンゴは、3年ぶり3回目の優勝となる。今季は、ほんの1週間ほど前に決勝が行われた国内のカップ戦 コパドブラジルに続き2冠を達成。今季途中から指揮を執るドリヴァウ・ジュニオールにとっては初のリベルタドーレス杯のタイトル獲得となる。嬉しいことだろう。

Flamengo bate o Corinthians nos penaltis e conquista a Copa do Brasil 2022
10月19日、コパ・ド・ブラジルでも愁傷したフラメンゴ(写真/Lucas Figueiredo/CBF)

通常、リベルタドーレス杯の覇者はクラブ世界一を決めるクラブW杯に出場することになるが、クラブW杯、今季は開催されないようだ。

クラブW杯は毎年各大陸王者が参加し行われていたが、2021年大会(2022年2月に開催)を最後に、現行のレギュレーションでの開催は行われない模様。今後のクラブW杯の開催は不透明ではあるが、4年に一度W杯の開催国でW杯の前年に規模を大きくして行うというのが大方の予想となっている。

毎年、リベルタドーレス杯とUEFAチャンピオンズ・リーグ、そしてその覇者が参加するクラブW杯に注目してきただけに、クラブW杯が今年から毎年行われないことは残念でならない。今後のクラブW杯についてはFIFAからの発表を待ちたいと思う。

(文/コウトク)

著者紹介

コウトク

2005年6月~2012年6月まで仕事の関係で、ブラジルに在住。ブラジル在住当時は、サッカー観戦に興じる。サントス戦については、生観戦、TV観戦問わずほぼ全試合を見ていた。
2007年5月のサンパウロ選手権と2010年8月のブラジル杯のサントス優勝の瞬間をスタジアムで体感。また、2011年6月のリベルタドーレス杯制覇時は、スタジアム近くのBarで、大勢のサンチスタと共にTV観戦し、優勝の喜びを味わった。

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