【国際親善試合】 日本代表対ウルグアイ代表戦。 新生日本代表、2026年W杯に向けて新しい旅路が始まった!
2023年 03月 25日
2023年3月24日(金)、雨の中、国立競技場でサッカー日本代表の国際親善試合が行われた。
代表チームはワールドカップ(W杯)を一つのサイクルとして作られる。昨年11~12月のカタール大会を終え、次の2026年大会(カナダ・メキシコ・アメリカ合衆国共催)に向け、最初の国際Aマッチデーを迎えた。
日本代表は森保監督の続投が決まったが、選ばれた選手はがらりと変わった。
カタール大会までのキャプテン吉田麻也、チーム最年長の長友佑都などは選ばれず、2026年大会を見据え若手選手を抜擢した形になった。
最年長は31歳のシュミット・ダニエル。キャプテンは30歳の遠藤航。この2人が新しい日本代表を引っ張っていく存在になるだろう。
試合前日、ミックスゾーンに現われた選手たちの声を聞いたが、遠藤航もシュミット・ダニエルも、内に秘める闘志を十分に感じられるものだった。
新生日本代表の初戦の相手となったのは、南米の古豪ウルグアイだ。
南米では、ブラジル、アルゼンチンの2強を追う3番手の存在だが、W杯では常連国。カタール大会では惜しくもグループリーグで敗退したが、強豪国であることは間違いない。ヨーロッパで活躍するスター選手も多くこの対戦カードが決まったときにはかなり楽しみだった。
スアレス、カバーニを筆頭に、バルベルデ、ベンタンクール、ヌニェスと世界的な選手たちがカタール大会でプレーした。
しかし、新生ウルグアイ代表として来日したのは上記の選手の中ではバルベルデ(レアル・マドリード)だけだった。
スアレスとカバーニは世代交代のせいか選出されず、プレミアリーグで活躍するベンタンクール(トッテナム)、ヌニェス(リヴァプール)は怪我のため招集できなかった。
また、ブラジルの名門フラメンゴで活躍するデ・アラスカエタのプレーも観たかったが、招集されなかった。
正式な監督は決まっていないようで、U20代表のブロリ監督が今回のAマッチ2試合(日本、韓国)の指揮を暫定監督として執ることになっている。
この日の会場は東京の国立競技場。雨の中の試合となった。
雨の国立競技場というと、昨年6月に行われたブラジルとの試合を思い出す。
あの試合は今回とは位置づけが全く違い、カタール大会への重要な調整の場となり、ブラジルもネイマールを筆頭にベストメンバーで臨んできた。
この試合の日本代表の先発メンバーは以下の通り。
GK:シュミット・ダニエル(シントトロイデン/ベルギー)
DF:菅原由勢(AZアルクマール/オランダ)
板倉滉(ボルシアMG/ドイツ)
瀬古歩夢(グラスホッパー/スイス)
伊藤洋輝(シュツットガルト/ドイツ)
MF:遠藤航(シュツットガルト/ドイツ)
守田英正(スポルティング/ポルトガル)
堂安律(フライブルク/ドイツ)
鎌田大地(フランクフルト/ドイツ)
三苫薫(ブライトン/イングランド)
FW:浅野拓磨(ボーフム/ドイツ)
カタール大会とはかなり変わった印象だ。特に、DFラインはとてもフレッシュだ。
そして、日本のJリーグ所属がいない。先発全員が当たり前のようにヨーロッパでプレーしている。日本のレベルも上がってきていることは間違いないだろう。
フレッシュなDFラインは4人ともにとても落ち着いてプレーしていた。
右SBの菅原、左SBの伊藤はともに、前線の堂安、三笘と連携し攻撃に絡んでいた。
特に目を引いたのは菅原だ。弱冠22歳で代表の先発としてプレーしたのだから緊張しないわけはない。試合後のミックスゾーンでも「緊張していないようで緊張していた」と語っていたが、とても緊張していたようには見えなかった。右サイドでコンビを組む堂安とうまく絡んで小気味よいオーバーラップを何度も見せチャンスをつくり出していた。
会場を一番沸かせたのは、三笘がボールを持ったときだ。ドリブルでの駆け上がりを何度となく見せてくれた。そのたびに会場は大歓声に包まれる。
三笘の立ち位置もカタール大会以前とはだいぶ変わってきた。カタール大会以前は、常に先発出場する絶対的なエースではなく、ジョーカー的な存在だった。
それが、カタール大会後世界最高峰のプレミアリーグで大活躍しており、世界中の注目を浴びる存在になった。この試合でも見せ場はつくっていたが、できることならゴールに繋がってほしかった。本人が一番それは感じていることだろう。
試合後のミックスゾーンでも、三笘を取り囲む記者の数は尋常ではなかった。こんな光景一つとってみても注目度で抜きん出ていることがよくわかる。
トップに入ったのは浅野だったが、この選手を森保監督が使いたがる理由がよくわかった。前線から守備もまったくさぼらない。中盤まで下がってボール奪取もしており献身的なプレーを何度も見せていた。
しかし、浅野の真骨頂は思い切ったシュートだろう。菅原からの絶妙なスルーパスからのシュートは最大の見せ場だったが、惜しくもサイドネットに外れた。
ウルグアイは完全にバルベルデのチームという印象だ。バルベルデは前線1.5~2列目ぐらいが主戦場だが、攻守にわたり守備範囲がとても広い。また視野が広く長めのパスもうまく出しており、格の違いを魅せてくれた。
先制点はそんなバルベルデのゴールだった。豪快に振りぬいたシュートはゴールポストに直撃したが、跳ね返った球を自ら頭で決めた。
それほど多くないチャンスを決め切る力はさすがだ。ゴールを決めた後にピッチに滑り込んで喜ぶ姿も格好よかった。
日本は、途中交代の選手がみせてくれた。
後半15分に堂安、浅野に代わり伊東純也(スタッド・ランス/フランス)、クラブで絶好調の上田綺世(セルクル・ブルージュ/ベルギー)、後半28分に鎌田、守田に代わり西村拓真(横浜F・マリノス)、田中碧(フォルトゥナ・デュッセルドルフ/ドイツ)、そして終了間際の後半42分に菅原、三笘に代わり橋岡大樹(シントトロイデン/ベルギー)、中村敬斗(LASK/オーストリア)が投入された。
その中で、特にみせてくれたのが伊東と西村だ。
西村はピッチに入った直後、伊東からのクロスをうまく合わせ、ファーストタッチでゴールを決めた。
試合後の会見で森保監督が言っていたが、右サイドが堂安から伊東に代わり相手の対応も難しくなることを見越し、西村には「両サイドからボールが入ってくるから(それを活かすように)」と指示したとのことだった。その通り、西村はファーストタッチでゴールを決めたのだ。「スリッピーな中で合わせるのも簡単ではないが、よく決めてくれた」と森保監督も会見で話していた。
堂安もよかったと思うが、伊東が途中で入ることによって右サイドが活性化されたことは間違いない。相手が疲れてくる時間帯での伊東の投入もありだと思った。
試合は1-1の引き分けで終わった。
古豪ウルグアイ相手にホームでアドバンテージがあるとはいえ、互角以上の戦いはできていたと思う。新たなスタートとしては悪くない滑り出しだったと思う。
試合後のミックスゾーンでも選手たちは皆いい表情をしていた。当然勝ちたかったとは思うが、皆新しいチームに手応えを感じている様子だった。
特に印象に残ったのが、板倉の表情だった。新しいDFラインを引っ張るDFリーダーとしての自覚を持っており、修正点・課題も口にしていたが今日の試合をポジティブに捉え、十分に手応えを感じている様子だった。
2026年のW杯まで4年間の旅路は始まったばかりだ。
次は、28日(火)に同じく南米の強豪国コロンビアとの試合が大阪(ヨドコウスタジアム)で行われる。
スタートの2戦目、また違った選手も使われることだろう。どんな選手が使われるか、どんな試合をするのかとても楽しみである。
(文/コウトク)