【国際親善試合】日本対カナダ戦。日本が4ゴールで快勝、カナダ相手に昨年の借りを返す!

2023年 10月 16日

2023年になって始動し快進撃を続ける新生日本代表。10月のインターナショナルブレークでは、新潟・神戸でカナダ、チュニジアと対戦することとなった。

11月からワールドカップ(以下W杯)予選が始まるのでこの2試合が実戦前の最後の親善試合となる。

長年キリンチャレンジカップという名称で行われてきたサッカー日本代表の国際親善試合だが、新潟で行われるカナダ戦は”MIZUHO BLUE DREAM MATCH”という名称でメインスポンサーがみずほ銀行となる最初の試合となった。

会場となる「デンカビッグスワンスタジアム」は2002年W杯日韓大会のために作られたスタジアムだ。普段はアルビレックス新潟のホームスタジアムとして使われているが、あまり代表戦が行われる印象はない。

10月13日(金)、夕方の新潟駅前は日本代表の青いユニフォームを身にまとったサポーターの姿が多く見られた。日頃なかなか代表戦が行われないからか、街全体でこの“お祭り”を楽しもうという、東京や大阪といった大都市圏とは違った新鮮な雰囲気が感じられた。

ビッグスワンは新潟駅から少し離れているが、シャトルバスでピストン輸送しておりまったく不便さは感じなかった。ほとんど待つことなくすぐに乗ることができ、新潟駅から20分ほどで到着した。

メディア入口は、シャトルバスの乗降場所からかなり離れており10分近く歩いただろうか。記者席に座ったのは試合開始のキックオフ25分前の19:10頃になっていた。

日本代表の先発メンバーは以下の通り。

GK 大迫敬介(サンフレッチェ広島)

DF 中山雄太(ハダーズフィールド/イングランド)

   町田浩樹(ユニオン・サンジロワーズ/ベルギー)

   冨安健洋(アーセナル/イングランド)

   毎熊晟矢(セレッソ大阪)

MF 遠藤航(リヴァプール/イングランド)

   中村敬斗(スタッドランス/フランス)

田中碧(デュッセルドルフ/ドイツ)

南野拓実(モナコ/フランス)

伊東純也(スタッドランス/フランス)

FW 浅野拓磨(ボーフム/ドイツ)

フォーメーションに注目したが、遠藤のワンボランチ、浅野のワントップの4-3-3とも4-1-4-1とも取れる布陣だった。

ダブルボランチが一般的の中、ワンボランチはとても新鮮に見えた。森保監督は、この試合を新戦力もしくは久々の復帰となる選手を試す機会にしたようだ。

ほぼ毎試合で先発出場していた三笘薫(左WG)、菅原由勢(右SB)に代わり、それぞれのポジションに中村、毎熊が入った。

久々に代表復帰を果たした中山は左SBに、南野は2列目中央右に入った。

対戦相手のカナダは、昨年のW杯直前の親善試合で負けた相手だ。同じ相手に2度も負けられないという思いは選手全体に共通しているはずだ。

試合はいきなり動いた。

開始2分、日本はいきなりカナダゴールに襲い掛かり、田中が少し離れた位置から放ったボールはきれいにゴールマウスの中に入っていった。

日本にとってはこれ以上ないスタートとなった。

立ち上がりから日本はよい攻撃を仕掛けることはできたが、その後しばらくはカナダの時間帯が続いた。

カナダ代表では何といってもアルフォンソ・デイヴィスだ。弱冠22歳だが名門バイエルンでレギュラーを張っており実力はピカ一。そのチャンスのほとんどは左サイドのアルフォンソ・デイヴィスを基点につくられていた。

そんな中、前半20分、ペナルティエリア内まで進入したアルフォンソ・デイヴィスがGK大迫と交錯し倒れた。最初の判定はノーファウルだったが、VARの結果ファウルとなり、カナダにPKが与えられた。

ここで見せたのが大迫だ。カナダFWジョナサン・デービッド(リール/フランス)のシュートを見事に足でセーブしたのだ。すごい気迫だった。

新生日本代表の正GK争いも熾烈だ。シュミット・ダニエルが一歩リードしているように思われたが今回は招集されていない。大迫は今回選ばれたGK3人の中では最も代表歴が長く、正GKの座は誰にも渡さないという気迫が感じられるものだった。

その後少しずつ日本がペースを取り戻す。

ボランチを1枚にするか2枚にするかは流動的に行っているようだったが、攻撃時は2列目、3列目から選手が飛び出し分厚い攻撃を仕掛け、守備時には全員でコンパクトに守るという、「よい守備からよい攻撃へ」という森保監督の戦術が浸透されているように感じられた。

40分には名手アルフォンソ・デイヴィスのオウンゴールを誘い2点目。そして42分には浅野のドリブル突破から中村が反転して見事なゴールを決め、3-0で前半を終えた。

後半開始と同時に日本は冨安に変え谷口彰悟(アラヤラン/カタール)を投入した。

後半も開始早々は前半と同様に日本が波状攻撃を繰り返した。そして早々の49分にまたも田中がゴールを決めた。前後半ともに立ち上がりの時間帯に決める決定力はさすがとしか言いようがない。

日本の途中交代は、61分に中村、遠藤から旗手怜央(セルティック/スコットランド)、伊藤敦樹(浦和レッズ)へ。72分に浅野、田中から古橋享梧(セルティック/スコットランド)、川辺駿(スタンダール・リエージュ/ベルギー)へ。そして83分には南野から橋岡大樹(シントトロイデン/ベルギー)へ行われた。

個々のタイプの違いはあるが、基本的に同じフォーメーションで、森保監督が唱える誰が出ても変わらないサッカーを繰り広げていた。

先発出場を果たした田中、中村が結果を出しているだけに、途中交代で入った選手たちも結果を出したかったはずだ。

古橋や旗手も、らしさは見せていたが、ゴールという結果に繋げることはできなかった。

終了間際の88分にカナダにゴールを決められクリーンシートとはならなかったが、難敵カナダ相手に4-1で大勝し、新生森保ジャパンは5連勝を飾った。

試合後の監督インタビューで森保監督も話していたが、4点以上取っての5連勝という結果に対し、選手の頑張りは当然のことだが、戦術を植え付けてくれたコーチ陣へ賞賛の言葉を述べていた。

また、結果的に大量得点を取れているが、ぎりぎりの戦いに勝っていくことにもこだわっていきたい、とも話しており、世界は決して甘くないことを十分に理解したコメントを残した。

日本代表にとってこの試合での収穫はいろいろとあったと思う。

まずは、可変的なフォーメーションで戦えるという自信がついたこと。試合の流れのなかで選手たちが自主的にフォーメーションを変え、結果を出すことができたことは大きな成果だろう。

そして、この日、最も光った選手は、間違いなく中村敬斗だった。

ゴールという結果はもちろんのことだが、2列目の選手として周りの選手たちとの連携がとてもうまいと感じた。ゴールへ向かう姿勢、そして正確なプレースキックと長所をあげるときりがない。代表での先輩、伊東純也の同僚としてクラブでも結果を出しており、これからがとても楽しみな選手だ。残念ながら後半早々に負傷交代し、状態が心配されるが、大きな怪我でないことを祈るばかりだ。

次は、中3日でチュニジアと対戦する。

今回のカナダ戦とはがらりとメンバーを変えてくることが予想される。どちらかといえば、次の試合が今までレギュラーと考えられていた選手が多く出場することになるだろう。

今回出場機会がなかった選手たちは闘志に燃えているに違いない。どんな試合を見せてくれるか、とても楽しみである。

(文/コウトク)

著者紹介

コウトク

2005年6月~2012年6月まで仕事の関係で、ブラジルに在住。ブラジル在住当時は、サッカー観戦に興じる。サントス戦については、生観戦、TV観戦問わずほぼ全試合を見ていた。
2007年5月のサンパウロ選手権と2010年8月のブラジル杯のサントス優勝の瞬間をスタジアムで体感。また、2011年6月のリベルタドーレス杯制覇時は、スタジアム近くのBarで、大勢のサンチスタと共にTV観戦し、優勝の喜びを味わった。

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