クラブワールドカップ2023決勝。フルミネンセはマンチェスター・シティに太刀打ちできず準優勝
2023年 12月 25日
クラブワールドカップ2023が、12月12日~22日にサウジアラビアのキング・アブドゥッラー・スポーツシティ・スタジアムで行われた。
次回(2025年)からは大会の形式が変わり、現行の各大陸王者が1クラブずつ出場する形としては今大会が最後となる。
南米代表は、先のコパ・リベルタドーレスを制したブラジルのフルミネンセ。ヨーロッパ代表は、昨年のUEFAチャンピオンズリーグの覇者であるイングランドのマンチェスター・シティFC。アジア代表は日本の浦和レッズである。
この大会、元々は南米王者とヨーロッパ王者が世界王者の座をかけて第三国の日本で行っていたトヨタカップが前身となる。
2005年にクラブワールドカップという形に大会が変わってからも度々日本で行っていたこともあって、かつては日本でもかなり盛り上がっていた。
しかしここ数年は日本で試合が行われることもなく、さらには日本のチームが出場していないせいか、日本ではほとんど盛り上がらないでいつの間にか終わっているという印象だ。
今回はJリーグでも屈指のファンの数を誇る浦和レッズが出場していたにもかかわらず、あまり国内では盛り上がっていなかったように見える。
以前は、日本テレビがかなり力を入れて中継していたが、今大会の中継はなし。日本で唯一見ることができたのは、ネット配信のFIFA+だけだった。
筆者はフルミネンセ対アルアハリ(アフリカ代表)の準決勝と決勝戦をFIFA+で観戦した、準決勝は問題なく見ることができたのだが、決勝戦はしばらくネットが繋がらず、やっと繋がって見ることができたのは前半40分頃だった。浦和レッズの試合でもネットがなかなか繋がらない事態が起こっていたようだ。
さて。今回、筆者の最大の注目はフルミネンセのガンソだった。
ガンソといえば、サントスでネイマールとともに両エースと呼ばれ一時代を築いた選手だ。
ネイマールが世界的なスターダムに躍り出たのとは対照的に、世界的にはまったく注目されない存在になってしまったが、リオの名門フルミネンセで10番を付けて中心選手としてプレーしており、ブラジルのクラブにとって最大のタイトルである、コパ・リベルタドーレスを制している。
今回のフルミネンセはとてもおもしろい布陣だった。
ガンソのほかにも、レアルマドリードで一時代を築いたマルセロを筆頭に、2010年のワールドカップにも出場した狂犬の愛称で知られるフェリペ・メロなどのベテラン勢が主力メンバーとしてプレーしている。
決勝のカードは、そんなフルミネンセとヨーロッパ王者のマンチェスター・シティだった。
マンチェスター・シティは、今や世界最高峰のリーグといわれるイングランド・プレミアリーグで3連覇を飾り、昨年度は3冠を達成した世界の強豪中の強豪である。
しかし今年は自国のプレミアリーグでの調子はあまり良くなく、勝ち切れない試合が続き、暫定5位(12月24日現在)と、“らしくない”ポジションにいる。
マンチェスター・シティの不調もあり、フルミネンセがもしかしたら…と思っていたが、やはりシティはシティだった。
開始1分でゴールが決まり、27分にはフルミネンセのオウンゴールで追加点。終わってみれば4-0の圧勝だった。
フルミネンセはほとんど見せ場を作ることができなかった。
後半15分にガンソ、マルセロ、フェリペ・メロが揃って交代したのも印象的だった。
注目のガンソだが、あまり動かずパスを繰り出す姿を見て懐かしさと同時に嬉しさも感じた。サントスで輝きを放っていた時代から10年ほど経つが、やはりガンソはガンソだった。
世界のサッカーは完全にヨーロッパ中心になってしまった感がある。
フルミネンセのフェルナンド・ジニス監督はブラジル代表の暫定監督も務めているが、この試合でほとんど修正することなく終わってしまった感じを受けた。
南米王者を決めるコパ・リベルタドーレスこそブラジルのクラブが制しているが、ヨーロッパのクラブとはかなり差が開いているというのが正直なところだろう。そんな印象を強烈に受けたクラブワールドカップの決勝戦だった。
(文/コウトク)