“食”からブラジルを知る「おいしいブラジル」
2016年 02月 28日
ブラジルフェスティバルをはじめとするブラジル関連イベントでも、屋台や売店でさまざまなブラジルの食べもの、飲みものが売られる。
そんなブラジルの食文化を紹介した本が、その名もずばり「おいしいブラジル」(スペースシャワーネットワーク・刊/麻生 雅人・著)だ。
「フェイジョアーダ」や「シュハスコ(シュラスコ)」など日本でもおなじみのものから、国産エキストラ・バージン・オリーブオイル、手作りチーズ、グルテンフリー食品といった近年注目を集めているものまでを紹介している。
プチプチのデンプン入りのドリンクとして有名な「タピオカ」はブラジルではなんと、もちもちクレープとして人気なのだとか。実はこの「タピオカ」、おなじみの「ポンデケイジョ」や、最近グルメレストランで話題になっているというある調味料と、原料は同じなのだとう。
アレックス・アタラをはじめ有名シェフが取り組むガストロノミー界におけるサステナビリティの話題から、オーガニック食品フェアなど、食を取り巻く現代のブラジルのライフスタイルも紹介している。
レシピ本ではない。いわばこの本は、食文化の本というよりは、厳密にいえば、食文化を通してブラジルという国を紹介した本、といえる。
世界でもまれにみるブラジルの個性あふれる多様な食文化を紹介しながら、その食文化が生まれ、根づいた背景を、人種や移民の側面と、この国特有の自然環境の側面から解説している。
本は大きく分けて4つの章で構成されており、序章はデータ編として、ブラジルで多様な食文化が育まれてきた背景となっている、ブラジルのバイオーム(生物群系)を紹介する。日本語で、ブラジルのバイオームと食文化について記されている文章は貴重だ。
本編は3つの章にわかれており、第1章では最新トレンド、第2章では定番食文化、第3章ではガストロノミアとブラジル社会とのつながりについて紹介している。
第1章では、話題のクラフトビールからカナストラ山脈地方産のチーズなどのミナスジェライス州産手作りチーズ、エキストラ・ヴァージン・オリーブオイル、進化系「タピオカ」に至るまで、昨今注目をあつめているブラジルの国産食材を紹介している。
第2章には、シュラスコ(シュハスコ)、パステウ、コシーニャ、ムケッカ、フェイジョアーダ、カシャッサ…などなどおなじみのブラジルの食べもの、飲みものがずらり。
カシャッサは、ブラジル全国各地で作られる、手づくり熟成カシャッサの世界を紹介。五感を駆使して楽しむカシャッサの魅力とは…!?
コシーニャが鶏もも肉の形をしている理由、パステウのお店や屋台を日系人が経営していることが多い理由、シュハスコ(シュラスコ)の食べ放題サービスはいつだれが始めたか、フェイジョアーダの祖先はフランス料理カスレ!?、 ポンデケージョが丸い形をしている理由など、それぞれの食の歴史や逸話が語られる。
第3章は、近年サンパウロで盛り上がるガストロノミアと、そのムーブメントが果たしている社会的役割や、植物性由来の化粧品、サステナブルファッションなどの話題。実はグルテンフリー食品やオーガニック食品が成長株であるなど、ブラジルの機能性食品や自然食品も紹介されている。
読めばおもわずブラジル飯が食べたくなること間違いなし。食べたくなったら、シュハスコレストランやブラジルフェスへ!
(文/加藤元庸)