【コパアメリカ2019】 ブラジルは因縁の対決を制しグループ1位で決勝トーナメントへ

2019年 06月 23日

コパアメリカ2019、アレーナ・コリンチャンスで行われたブラジル対ペルー戦にて(写真/Lucas Figueiredo/CBF)

コパアメリカ2019におけるブラジルのグループリーグ最終節が、6月22日(土)16:00(日本時間23日(日)4:00)、サンパウロのコリンチャンスアリーナで行われた。

相手は、因縁の相手ペルーだ。

前回の2016年大会でも、グループリーグの最終節で対戦し、ブラジルは敗れ、決勝トーナメント進出を逃している。

あの時も、1勝1分けの勝ち点4で臨んだ試合だった。そしてネイマールも不在と、共通点が多いこともブラジルにとって嫌な材料だった。

土曜日の午後ということで、スタジアムは満席。天気もよく、まさにサッカー日和だ。

客席は、ブラジルのカナリアイエロー一色というわけではなく、白と赤のペルーサポーターの数もそれなりにいるという印象だ。

さて、この大事な試合、ブラジルは、先発二人を変えてきた。

2列目右をヒシャーリソン(エバートン)からガブリエウ・ジェズース(マンチェスターシティ)へ、そして2列目左をダヴィド・ネーレス(アヤックス)からエヴェルトン(グレミオ)へである。

昨年までは絶対的なエースストライカーだったが、今大会では控えに甘んじているガブリエウ・ジェズースにとって、久々の先発出場。この試合にかける思いも相当なものだろう。

そして、1,2戦で途中出場ながらよい動きをみせていたエヴェルトンにとっても、ヨーロッパのビッグクラブへのステップアップにつなげるビッグチャンスである。

一方のペルーだが、キャプテンは、ブラジルのチームで長年活躍しているパオロ・ゲレーロ。35歳になるがまだ現役最前線で、現在はブラジル南部の都市ポルトアレグリのインテルナシオナウでプレーしている。

ほかにも、シャルケ時代に内田篤人の同僚だったファルファンもエースナンバー10番をつけて健在だ。

試合は、立ち上がり、ペルーのチャンスが続いたが、それ以降はブラジルペースで進んだ。

そんな中、前半12分、コウチーニョ(バルセロナ)のCKからカゼミーロ(レアルマドリッド)が頭で合わせてゴールを決めた。

しかし喜ぶのはまだ早い。

今大会でブラジルは何度もVARの判定に泣かされている。今回こそ、VARなしでゴールが決まったかと思われたが、主審はVARと無線で交信していた。

しかしVARの判定もあったが無事にゴールは認められ、ブラジルに待望の先制点が入った。

前半にゴールを決めたのは、今大会ではこの試合が初めてだ。

これで、ブラジル選手たちはだいぶ気持ちが楽になったことだろう。

しかし、1点ぐらいではわからないので、追加点がほしいところだった。

そんな中、前半19分、フィルミーノ(リバプール)のゴールが決まった。

ペルーのゴールキックの球を体に当てて奪い、いったんはゴールポストに当たったが、跳ね返りを押し込み、貴重な追加点をあげることができた。

これには、監督のチチも大喜びしていた。

ペルーは2点奪われたが、攻める姿勢は変わらず、攻撃を続けていた。

しかし、この日のブラジルは、おもしろいようにゴールが決まる。

前半32分には、期待のエヴェルトンがPA外45度の位置からミドルシュートを決め、3-0となった。

エヴェルトンは初戦に続き2点目。期待に応え、結果を出し続けている。

フェリペ・ルイスとエヴェルトンを絡めた左サイドからの攻撃が目立っていた。

前半を終え3-0でブラジルがリード。

ブラジルにとっては、かなり楽に試合を進めることができていた。

後半もブラジルの猛攻が続く。

後半9分、ダニエウ・アウヴェスが、アルトゥール、フィルミーノとワンツーでパス交換をしながら流れるような攻撃からゴールを決めて4点目が入った。まるで、ストライカーのような動きだ。

そして終了間際の後半45分、途中出場のウィリアン(チェルシー)が豪快なミドルシュートを決めて5点目。

さらにアディショナルタイムには、ガブリエウ・ジェズースがPA内で倒され、PKが与えられた。

キッカーはもちろんガブリエウ・ジェズース本人だ。

しかし、ガブリエウ・ジェズースの蹴った球はGKに止められてしまう。これには相当悔しい思いをしただろう。千載一遇のチャンスをふいにしてしまったのだから。後に引きずらなければよいが。

ともあれ、ブラジルは5-0で快勝し、グループリーグ1位で決勝トーナメント進出を決めることができた。

この試合、ウィリアン以外では、左SBアレックス・サンドロ(ユベントス)とMFアラン(ナポリ)が途中出場を果たしている。

特にアレックス・サンドロは、サントスでネイマールと同時代の黄金時期を過ごしており、私もかなり思い入れのある選手だ。今大会では、なかなか出場機会に恵まれないが、その雄姿を見られたことは、とてもうれしく思う。

次のブラジルの試合は、27日(木)21:30(日本時間28日(金)9:30)にポルトアレグレのグレミオアリーナで行われる。早いもので準々決勝になる。

対戦相手はまだ決まっていないが、日本もしくはアルゼンチンの可能性もある。

(文/コウトク)

著者紹介

コウトク

2005年6月~2012年6月まで仕事の関係で、ブラジルに在住。ブラジル在住当時は、サッカー観戦に興じる。サントス戦については、生観戦、TV観戦問わずほぼ全試合を見ていた。
2007年5月のサンパウロ選手権と2010年8月のブラジル杯のサントス優勝の瞬間をスタジアムで体感。また、2011年6月のリベルタドーレス杯制覇時は、スタジアム近くのBarで、大勢のサンチスタと共にTV観戦し、優勝の喜びを味わった。

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