【国際親善試合】日本代表対ブラジル代表戦で、ついに日本がブラジルに初勝利

2025年 10月 15日

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10月14日、東京。 味の素スタジアム。日本対ブラジルの親善試合で、ブラジル代表は日本に逆転負けを喫した(写真/Rafael Ribeiro/CBF)

10月14日(火)に日本代表対ブラジル代表の国際親善試合が味の素スタジアム(東京スタジアム)で行われた。

日本代表とブラジル代表の親善試合は結構な頻度で実施され、直近では2022年6月に国立競技場で行われている。そのときは、ネイマールによるPKでのゴールで、1-0でブラジルが勝利している。

ブラジルの先発は、大方の予想では、4日前の韓国戦からGKだけ変える現時点でのベストメンバーとのことだったが、韓国戦からはがらりと変えてきた。アンチェロッティ監督の前日会見で「テストを繰り返す」と話したとおりだった。

GK:ウーゴ・ソウザ(コリンチャンス)

DF:ファブリシオ・ブルーノ(クルゼイロ)

   パウロ・エンリケ(バスコ・ダ・ガマ)

   カルロス・アウグスト(インテル・ミラノ)

   ルーカス・ベラウド(パリ・サンジェルマン)

MF:カゼミロ(マンチェスター・ユナイテッド)  

   ルーカス・パケタ(ウエストハム)

   ブルーノ・ギマランイス(ニューカッスル)

FW:ビニシウス・ジュニオール(レアル・マドリード)

   ルイス・エンリケ(ゼニト)

   ガブリエウ・マルチネッリ(アーセナル)

GKとDFは国内(ブラジル)組中心のメンバーとなっている。

韓国戦と同様に先発出場を果たしたのは、カゼミロ、ブルーノ・ギマランイス、ビニシウス・ジュニオールの3人だけだった。

前半は完全にブラジルペースだった。

多くの時間でブラジルがボールをキープし、26分にブルーノ・ギマランイスからの縦パスを右SBのパウロ・エンリケが決め、ブラジルが簡単に先制した。これは、4日前の韓国戦の先制点とまったく同じパターンだった。

そして、32分にはマルチネッリがペナルティエリアにうまく入り込み追加点を挙げた。さすが調子のよいブラジルは、チャンスを確実に決め切る力があることを目の当たりにした。

日本もいくつのチャンスはあったが、ブラジルが圧倒した前半だった。

前半を終了して2-0。

この時点では、大方の人が韓国戦のようになることを予想しただろう。

しかし、後半はまったく違った展開になった。

ブラジル、日本ともにハーフタイムでの交代はなかったが、後半は開始早々から日本のチャンスが続いた。日本がボールをキープする展開が続いたのだ。

そして後半早々の後半7分、ゴール前でブラジルのCBファブリシオ・ブルーノのミスパスを南野が豪快に蹴り込んで日本にゴールが決まった。

調子のよいブラジルから値千金のゴールを挙げたことによって、スタジアムの雰囲気が一変した。

しかし、このとき筆者はまだ、ブラジルが格の違いを見せ、簡単に試合を決めるのではないかと思っていた。

勢いを増した日本だったが、後半12分にブラジルは3枚替えを敢行。ロドリゴ(レアル・マドリード)、マテウス・クーニャ(マンチェスター・ユナイテッド)、ジョエリントン(ニューカッスル)を投入した。

これで少しブラジルがボールキープできるようになったが、そのほんの5分後、また日本にゴールが決まった。

ブラジルDFのオウンゴールに見えたが、中村敬斗のゴールとアナウンスされた。伊東純也のクロスから中村敬斗が打ったボールをブラジルDFがクリアしようとしてゴールに入ったのだった。このブラジルDFは、日本の1点目を献上したファブリシオ・ブルーノだった。

スタジアムのボルテージが上がった。まさにお祭り騒ぎのようになった。

これでがぜん勢いを増したのが日本だった。

ブラジルは、一度、マテウス・クーニャがゴールネットを揺らしたがオフサイドの判定でノーゴール。日本にとっては助かったが、ブラジルの見せ場はそれぐらいで、日本が圧倒した。

そんな中、後半26分、またも日本にゴールが決まったのだ。

伊東純也のCKから、上田綺世が頭で決めたのだ。

スタジアムのボルテージはこれ以上ないほどに上がった。何と、一気に3点を取り、あのブラジルを逆点したのだ。

その3分後に、ブラジルは、エステバン(チェルシー)、カイオ・エンリケ(モナコ)、そして期待のリシャーリソン(トッテナム)といった攻撃的な選手を中心に3枚替えを敢行。反撃を仕掛けた。

試合はまだ20分近くあったので、ブラジルにも十分チャンスはあると思えた。

しかし、ブラジルも徐々に焦りが増してくる。

日本はその後も劣勢になることなく、いくつかのチャンスをつくり出していた。

後半45分が経過し、アディショナルタイムは6分。ブラジルは猛攻を仕掛けるが、最後までゴールを奪うことができず、日本が3-2でブラジル相手に初めての勝利を挙げた。

試合後、両監督の公式会見が行われた。

アンチェロッティ監督が10分強で終わったのに対し、森保監督は50分間も質疑応答を続けた。なかなかここまで長い会見は体験したことがない。

アンチェロッティ監督の公式会見の内容は以下のとおり。

「韓国戦は90分間(通して調子が)よかった。今日は前半はよかったが、後半はバランスを欠いた。ミスが出たが、W杯本番でなく今日でよかった」

「個人のミスがチームのバランスを崩した。それに対するリアクションがなかったことは大きく学ばなければならない」

「CBのミスでコントロールを失った。メンタル面も含めて、まったくよくない結果になってしまった」

「負けは受け入れることができない。本当に残念に思っている」

「日本はすごくよいチームだと思った。プレスを仕掛けてきて、ビルドアップがすごく困難になった」

サッカーとは本当に不思議なスポーツだ。

前半あれだけ一方的だったのに、後半はチームが違ったようにがらりと内容が変わってしまった。

W杯予選で低迷を続けていたブラジル代表を、短期間で立て直したと賞賛されていたアンチェロッティ監督。守備力を強化し、就任以来最大でも1失点で抑えていたが、この日は3失点してしまった。

W杯へのテストの場である親善試合とはいえ、今回の敗戦のショックは計り知れない。しかし、これを糧にさらなる成長を遂げることを期待したいし、アンチェロッティならそれができるだろう。

(文/コウトク)

著者紹介

コウトク

2005年6月~2012年6月まで仕事の関係で、ブラジルに在住。ブラジル在住当時は、サッカー観戦に興じる。サントス戦については、生観戦、TV観戦問わずほぼ全試合を見ていた。
2007年5月のサンパウロ選手権と2010年8月のブラジル杯のサントス優勝の瞬間をスタジアムで体感。また、2011年6月のリベルタドーレス杯制覇時は、スタジアム近くのBarで、大勢のサンチスタと共にTV観戦し、優勝の喜びを味わった。

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