2017年 05月 13日 12:57
1989年以降のブラジル現代史を振り返ると、今日ほど、そして来る2018年の総選挙ほど、ブラジル政治が刷新に近づいていると、感じ得る時はないように思われる。
伝統的な政治スタイルへの拒絶に加え、景気後退の相乗効果もあり、2018年10月の総選挙では、州知事や連邦議員の大幅な世代交替が起きるだろう。
伝統的政治への拒絶反応はいわゆるラバジャット(ラヴァ・ジャット、註:語彙は高速洗車機。石油スタンドを使った資金洗浄容疑捜査から始まったためこのネーミングとなった)捜査によってもたらされた。この捜査は、連邦の検察、警察、司法の手によって進められてきたものである。
(2017年)3月17日で、ラバジャットは満三年を迎えた。この時点までに、およそ以下のような成果が上がっている。
調査済み賄賂総額41 億レアル、ブラジル最大のゼネコン・オーデブレヒト(オーデブレヒチ)社が認めた贈賄額19億レアル(約690億円)、公金横領特定額100億レアル(約3630億円)、容疑者の資産凍結額32億レアル(約1162億円)、関与企業支払い罰金総額71億レアル(約2578億円)。
ラバジャット捜査の解明によって、政治家のほぼ一世代が直接・間接に汚職に関わっていることが明らかにされつつある。当人たちはいずれも「潔白だ」と主張しているが、最終的に断を下すのは司法である。
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(文/フェルナンド・ホロリゲス、記事提供/日本ブラジル中央協会、写真/Antonio Cruz/Agência Brasil)
写真は3月26日、ブラジリア。ラヴァ・ジャット作戦への応援と、政治の腐敗に対する抗議デモ。エウニシオ・オリヴェイラ上院議長(民主運動党:PMDB)、ホドリゴ・マイア下院議長、フェルナンド・コーロル上院議員(元大統領、キリスト教労働党:PTC)、ヘナン・カリェイロス上院議員(元上院議長)など捜査対象になっている政治家のパネルも掲げられた
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