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汚職摘発がM&Aを呼ぶ!? ラヴァ・ジャット作戦開始から3年間で、関連企業のM&Aは約36兆円規模に

ペトロブラス

ペトロブラスは2014年4月、同社の贈収賄事件への関与による損失は6兆1940億レアル(約216兆円)との試算を発表した。アブレウ・イ・リマ製油所、リオデジャネイロ石油化学コンビナート(COMERJ)、アメリカ合衆国パサデーナにある製油所の捜査の後、ペトロブラスの時価総額は一時600億レアル(約2兆1000億円)以上下がった。

贈収賄捜査の本格化で新規事業に対する資金調達が難しくなった時期でもあり、石油価格が下落基調にあるため採掘量の削減が必要となった時期に、ペトロブラスはグループ内企業からの投資引き揚げ計画を発表した。2012年の初めに1000億レアル(約3兆5000億円)だった同社の流動負債残高は、2015年9月末には4000億レアル(約14兆円)に跳ね上がっていた。

ペトロブラスは現在も売却対象の追加を検討中で、2018年末までに投資先企業の売却により650億レアル(約2兆2700億円)以上回収する予定とのことだ。

ペトロブラスに次いで傘下企業の売却が多いのが食肉加工最大手JBSの持株会社、J&Fだ。同社はすでに食肉関連以外の傘下企業の半分について売買契約を締結している。売買契約額は総額で269億レアル(約9400億円)に上る。

J&Fに続くのがオデブレヒト(129億レアル)、BTGパクトゥアウ(103億レアル)、カマルゴ・コヘア(86億レアル)の順となっている。

これらの企業からの売りオファーに呼応しているのはブルックフィールド社(NTS、オデブレヒト・アンビエンタウ、プロジェト・オウモス、フッタス・ヂ・リマの4社を買収)が首位で金融グループ、イタウ・ウニバンコがコネクトカー、BTGパクトゥアウのリカバリー、アウパルガタスに対する持分を取得し2番手につけている。

「買い手の中でも、イタウ・ウニバンコのように、それまで金融事業だけにフォーカスしてきたグループが、グループ内企業に多様性を持たせる機会として株式を取得している面もあるようです」(M&Aコンサルティング会社パクトール・フィナンサス・コーポラチーヴァスのパートナー、アレシャンドリ・ピエラントーニ氏)

そのほかにはすでに3社の中国企業がエネルギー・インフラ分野に入札をしてきている。中国交通建設はインフラ建設会社コンクレマッチ・エンジェニャリーア株式の80%を取得済みだが、優良な企業を比較的安い値段で買える今こそ中国企業はブラジルへの投資を加速するべきだとコメントしている。

ラヴァ・ジャット作戦がきっかけで始まった売却案件の急増で、ブラジルのM&A市場は急成長している。

(次ページへつづく)

(文/原田 侑、写真/Fernando Frazão/Agência Brasil)

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