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クラブW杯2020、 南米王者パウメイラスは3位決定戦も勝てず。全敗で大会終える

2月11日(木)、カタールのエデュケーションシティスタジアム、パウメイラス対アルアハリ(写真/Cesar Greco/Palmeiras)

カタールで開催されていたFIFAクラブワールドカップ(以下、クラブW杯)2020は、2月11日(木)(日本時間12日(日))に行われた決勝戦と3位決定戦で閉幕した。

優勝は、大方の予想通り、ヨーロッパ王者のバイエルン(ドイツ)だった。

南米代表のパウメイラスは3位決定戦でも敗れ、いいところなくカタールの地を去ることになった。

2月11日(木)、カタールのエデュケーションシティスタジアム、パウメイラス対アルアハリ(写真/Cesar Greco/Palmeiras)

2月7日(日)(現地時間)に北中米カリブ王者のティグレス(メキシコ)に惨敗したパウメイラスは、中3日で3位決定戦を戦った。

相手は、準決勝でバイエルンに敗れたアフリカ王者のアルアハリ(エジプト)だ。

パウメイラスより1日遅れで準決勝を戦ったアルアハリは、中2日。そのうえ、チームの支柱のエルシャハト、エースストライカーであるカーラバが大会規定の違反により出場停止という、厳しい条件で試合に臨まざるを得なかった。

3位決定戦は、すでにタイトル獲得のチャンスがなくなってしまっていることもあり、点の取り合いとなる大味な試合になることが多い。

しかし、この日の試合はそうはならなかった。

2月11日(木)、カタールのエデュケーションシティスタジアム、パウメイラス対アルアハリ(写真/Cesar Greco/Palmeiras)

何といってもパウメイラスにとっては、南米王者として、そしてブラジルの名門クラブの威信にかけても、絶対に負けられないという思いが強すぎたのだろう。

パウメイラスの選手のモチベーションが気になったが、この試合では積極的な入りを見せていた。

しかし、格の違いを見せつけることはできず、全体を通してほぼ互角の戦いとなった。

お互い、2,3の惜しいチャンスはあったが、ゴールを決めきることができず、0-0で90分間の前後半が終了。レギュレーションにより延長戦はなく、PK戦で勝負を決めることになった。

結果、後攻めのパウメイラスは、最初のFWホニ、続くFWルイス・アドリアーノが立て続けに失敗。そして最後5人目のMFフェリペ・メロも決めることができずこの試合に敗れ、アルアハリの3位、そしてパウメイラスの4位が決まってしまった。

この試合、準決勝のティグレス戦のような惨敗というわけではなかったが、南米王者の威信の欠片も感じさせられなかった。

2月11日(木)、カタールのエデュケーションシティスタジアム、パウメイラス対アルアハリ(写真/Cesar Greco/Palmeiras)

それにしても、今大会のパウメイラスは、まったくいいところがなかった。2試合を戦い1ゴールも奪えることができず、大会を後にすることになった。

ポルトガル人監督のフェヘイラも効果的な采配を振るうことはまったくできなかった。

バイエルンと戦う決勝戦なら、ブラジル中のサッカーファンも興味を持ったはずだ。しかしながら、アフリカ王者が相手の3位決定戦であるこの試合、ブラジルでは、パウメレンシぐらいしか興味を持って見ていなかったのではないだろうか。

それにしても、この内容・結果について、パウメレンシの嘆きようは相当なものだろう。

サンパウロの4大クラブの中で唯一世界一の称号を獲得できていないパウメイラス。今回、念願の称号を奪取するまたとないチャンスが訪れたにもかかわらず、そのチャンスをまったく生かすことができず、南米王者として過去最低の結果を迎えてしまったのだ。

サンパウロの他の4大クラブのサポーターたち、特に最大のライバルであるコリンチアーノを筆頭に、サンパウリーノ、サンチスタたちはずっと語り草にすることだろう。

2月11日(木)、カタールのエデュケーションシティスタジアム、パウメイラス対アルアハリ(写真/Cesar Greco/Palmeiras)

今回の敗因について、その背景を考えてみた。

これは今に始まったことではないが、ブラジルでも実力のある選手は、皆、ヨーロッパのクラブを目指している。

この流れは、20年ほど前から続いているだろう。ブラジル代表の選手たちも、ほとんどがヨーロッパのクラブでプレーしており、国内のクラブから選ばれるのはほんの少数だ。現在の日本代表とまったく同じ構図だ。世界中から有力な選手は、ヨーロッパに集まるようになっている。

そのため、クラブの実力は、ヨーロッパだけが別格となり、南米についても他の地区とレベル差は年々なくなりつつあるように感じる。

また、今回のパウメイラスの試合が迫力に欠けたのは、守備重視のヨーロッパのチームを模倣したような戦術だったからかもしれない。

激しく個人技が溢れる、いかにも南米らしい泥臭いサッカーを見せることができれば、世界中のサッカーファンを楽しませることができたかもしれない。

しかし、それだけでは、南米王者になれないことも事実である。

また、クラブW杯の開催意義・開催方法の見直しなどについては、いろいろと議論されている。

2021年から、開催を4年に一度とし、24チームで戦う方針もあった。しかしながら、コロナ渦の影響もあり、2021年大会については、現行のレギュレーション通りで12月に日本で行うことになっている。

次の大会が日本で開催されることは嬉しく思うが、そのとき、南米王者はどのような戦いを見せてくれるだろうか?

そんな失意のどん底のパウメイラスだが、現地時間2月14日(日)には、次の試合が待っている。なんとカタールからブラジルまで13時間余りかけて移動し、中2日でカンピオナート・ブラジレイロ(ブラジル全国選手権)の試合を戦わなければならないのだ(※編集部注:本原稿は試合前に入稿されたものです。パウメイラスはフォルタレーザと対戦、3対0で勝利しました)。

2月14日(日)、パルキ・アリアンス。カンピオナート・ブラジレイロ・セリエAでフォルタレーザに3対0で勝利したパウメイラス(写真/Cesar Greco/Palmeiras)

そして、コパドブラジルの決勝にも残っており、グレミオ相手に2月28日(日)と3月7日(日)にホームアンドアウェーで試合を行うことになっている。

世界中のサッカー界で、コロナ渦の影響でスケジュールがずれ込んでいる。しかし、このパウメイラスの超過密スケジュールは気の毒になるぐらいだ。

ブラジルでは少しでも戦績が悪くなるとすぐに監督が更迭される。

クラブW杯の失敗だけで即解雇とはならないだろうが、パウメイラスのこれからの戦いぶり如何では、もしかしてもしかするかもしれない。

さて、ブラジルサッカーの2020シーズンは、全国選手権が2月25日(木)に最終節を迎え、3月7日(日)のコパドブラジルの決勝戦セカンドレグで、全日程が終了する。

いろいろと考えさせられた今回のクラブW杯だった。これからも、南米、そしてブラジルサッカーのゆくえについては、見守っていきたいと思う。

(コウトク)

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著者紹介

コウトク  2005年6月~2012年6月まで仕事の関係で、ブラジルに在住。ブラジル在住当時は、サッカー観戦に興じる。サントス戦については、生観戦、TV観戦問わずほぼ全試合を見ていた。2007年5月のサンパウロ選手権と2010年8月のブラジル杯のサントス優勝の瞬間をスタジアムで体感。また、2011年6月のリベルタドーレス杯制覇時は、スタジアム近くのBarで、大勢のサンチスタと共にTV観戦し、優勝の喜びを味わった。現在、スポーツナビのブログ「ブラジルサッカーレポート」(http://www.plus-blog.sportsnavi.com/kohtoku/)を執筆中。