カテゴリ : column フッチボウ・アルチ~ブラジルサッカーの魅力~
2021年 06月 15日 17:55

これには耳を疑った。というのも、誰もが知っているように、ブラジルは世界でも有数のCOVID-19の感染被害の多い国だ。そんな国で開催まで2週間を切り、準備もしていない中、世界大会を行うことはできるのだろうか、と誰もが思ったことだろう。
当のブラジル代表の選手たちも、あまりにも急に自国で行うことが決まった大会に対しボイコットする意向を示した。監督であるチチも、選手たちのボイコットを支持すると声明を出すほどだった。体制側ではなく、あくまでも選手たちの意向に寄り添うチチ監督の姿勢には心を打たれる。今のセレソンには、チチを家長とした家庭的な雰囲気が感じられる。とてもいいチームだと思う。
結局、ブラジル代表の選手たちは、開催には反対という立場だが、決まったことには従う、という態度を取ることとし、大会に出場することになった。
レギュレーションが変わって初めての大会ということで、前回大会から2年しか経っていないのだが、思いがけずブラジルは、前回の2019年大会に続いてホスト国になったのだ。
開幕まで2週間を切る中で、開催会場などが慌ただしく決められていったとはいえ、その予定通りに、何ごともなかったかの如く、開幕戦が行われたのだ。試合前日にはベネズエラの選手・関係者に10人ほどのCOVID-19陽性者が出て、追加招集で選手を入れ替えるというおまけがついてしまったが、それでも無事開催にこぎつけた。
ほとんど準備期間がない中で開催にこぎつけられたことに関しては、無観客ということも大きな要因のひとつだと思われる。また、ブラジルは、2014年にワールドカップ、そして直近の2019年にコパアメリカを開催している。その経験も大きかったと思う。
(次ページへつづく)
(文/コウトク)
■関連記事
・ブラジル全国選手権、フラメンゴが連覇。勝利に導いた新監督ホジェリオ・セニとは
・クラブW杯2020、南米王者パウメイラスは3位決定戦も勝てず。全敗で大会終える
・“イパネマの娘”、ワクチン接種受ける
・藤田嗣治の旅と色彩に焦点をあてた展覧会「フジタ-色彩への旅」開催中。リオで描かれた作品も展示
・ブラジルの国民的漫画家マウリシオ・ヂ・ソウザと手塚治虫との交流にスポットを当てた展覧会