PSG公開練習。ネイマール、練習でも気合十分

2022年 07月 19日

7月18日、秩父宮ラグビー場。公開練習を行うパリ・サンジェルマン(撮影/コウトク)

7月18日(月)、「エアトリ presents Paris Saint-Germain JAPAN TOUR 2022」で来日中のパリ・サンジェルマン(PSG)が秩父宮ラグビー場で公開練習を行った。

この公開練習は一般にも公開された。今回のツアーでPSGは、Jリーグのチーム相手に全3試合の親善試合が行うが、試合のチケットは争奪戦となっている。そのため、何としてもPSGの試合が見たいというファンのために、公開練習という形でチケットが発売され、PSGの選手たちがサッカーをする姿を見ることができる機会が設けられたのだ。

会場には、PSGのユニフォームを着たたくさんのサッカー少年・少女たちの姿があった。

秩父宮ラグビー場では試合は行われないが、チームはここをベースとして練習を行う。観客席からピッチまでの距離がとても近いので、公開練習を見に来た人々にとっても嬉しい環境だったと思われる。

それにしても、毎年のようにヨーロッパの一流クラブが親善試合をするために日本を訪れてはいるが、これほどの豪華メンバーが揃ったチームは、なかなかないだろう。

練習開始に先駆けて、選手紹介が背番号とともにアナウンスされた。

背番号順に選手が紹介されていく中、30番のメッシに対する声援が最も大きかった。これだけの豪華メンバーの中でも、メッシは別格なのだろう。

定刻の19時を10分ほど過ぎて選手たちが入場した。

そして、キャプテンのマルキーニョスを先頭に、グランドを約半周走り、練習が始まった。

最初は、パス練習だった。

ひときわ目立ったのがエムバぺだ。精悍な体つき・表情は、明らかに他の選手たちとは違っていた。

マルキーニョスはキャプテンらしく、真剣かつひたむきな表情で練習していたのが印象的だ。

セルヒオ・ラモスも引き締まった表情で練習していた。

ネイマール、メッシは二人でほとんど一緒にいたが、あまり目立っていない印象だった。

そして、赤・青二つのビブスに分かれて、ミニゲームが行われた。

午前中のサッカークリニックに参加していた5選手(エムバぺ、メッシ、ネイマール、マルキーニョス、セルヒオ・ラモス)はすべて赤だったことから、赤ビブスがレギュラー組のようだった。

赤・青二つのビブスを着用した選手たちが、二つのコート(メインスタンド側・バックスタンド側)に分かれてミニゲームを行った。

筆者が取材していたメインスタンド側でゲームを行った赤ビブス組にはネイマールとセルヒオ・ラモスが参加していた。

その後、大きなコート(全面ではなくピッチの3分の2ぐらいの広さ)での赤ビブス対青ビブスの10対10の試合形式の練習が行われた。赤がレギュラーで青が控えという図式だろう。

赤ビブスが優勢だが、青ビブスも頑張っていた。

そして、10分ほど経ったのち、一部の選手がビブスの色を変えていた。スーパースターの5選手の中では、ネイマールが唯一赤から青へ変えられた。

その後も10対10のゲーム形式の練習は続いたが、赤ビブスの一方的なゲームになってしまった。ネイマールにとっては、ストレスが溜まるゲームだっただろう。

その後再び5対5のミニゲームになった。

赤ビブスが二つに分かれ、そのうちの一方にネイマールが入った。またもセルヒオ・ラモスと一緒だった。

ネイマールの気合の入り方は半端ないように見えた。時折観客もうなるようなプレーを見せてくれ、熱い声援も送らた。しかし真剣になるあまり、本番の試合さながら、少し足を掛けられたら大げさに転んだり、ミニゲームが途切れた後も、まるで審判に駆け寄るようにコーチに駆け寄り何やら文句らしいことを言っていたように見受けられた。

レギュラー組からサブ組へ変えられ、プライドを傷つけられたのかもしれない。しかし、世界中の誰もがネイマールのプレーの素晴らしさを知っているのだから、もう少し大きな心で臨んでくれてもよかったかな、とも感じられた。

20:25頃、すべての練習が終了した。

正味時間とすれば、1時間15分となる。短い感じもするが、世界的なプレーヤーにとっては、これくらいで十分なのかもしれない。

その後、一部の関係者に対して、選手たちがサインをしていたが、GKのケイロス・ナバス(コスタリカ代表)が遅くまで丁寧にサインしている姿が印象に残った。

今回、公式練習を有料で一般公開したことは異例なことと言えるだろう。会場を訪れた人たちには、この公開練習はどのように映ったことだろうか。

そんな公式練習の一般公開について、私が気づいたことをいくつか記しておきたい。

まず思ったことは、選手たちにはユニフォーム姿でプレーしてほしかったということだ。

せっかく、開始前に全選手の紹介を背番号とともにアナウンスしたのだ。背番号がわかれば、簡単に選手名がわかる。有名選手は皆に知られているので問題ないだろう。しかしながら、そうでない選手もいるのだ。そんな選手たちを知るために、背番号をぜひ付けてプレーを見せてほしかった。

次に思ったことは、やはり練習は練習であり、試合とは根本的に違うということだ。。

今回の練習では、ピッチ全体を使う試合形式のものは行われず、使ったのは最大の広さでもピッチの3分の2ぐらいだった。そのため、席によっては、近くでプレーする選手の姿を見ることができないというシーンが多々、見受けられた。

試合であればピッチ全体で行われるので、どんな席でも選手たちが間近に来る可能性がある。そのため、どんな席に座っていようと、期待を持って選手たちのプレーを見ることができる。しかし、練習では、そうではないという事実を突きつけられた。

そのようないくつかの気づいたことはあったが、世界的なスーパースターのプレーを目の当たりに出来たことは、日本のサッカーファンにとってかけがえのないものになったことだろう。すごく貴重な機会になったことは間違いないと思う。

そんなことを感じた一日になったのだった。

(文/コウトク)

著者紹介

コウトク

2005年6月~2012年6月まで仕事の関係で、ブラジルに在住。ブラジル在住当時は、サッカー観戦に興じる。サントス戦については、生観戦、TV観戦問わずほぼ全試合を見ていた。
2007年5月のサンパウロ選手権と2010年8月のブラジル杯のサントス優勝の瞬間をスタジアムで体感。また、2011年6月のリベルタドーレス杯制覇時は、スタジアム近くのBarで、大勢のサンチスタと共にTV観戦し、優勝の喜びを味わった。

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